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「冒険者というと、ギルドに登録して、クエストをこなす的なやつですか?」
と、俺は、聞いた。
「冒険者と一口に言っても、色々だが、そういうやつも、結構いるよ。冒険者ギルドに属さない一匹狼もいるな。兄さんも、そういう口かい?」
「いえ。少し、興味があったものですから」
と、俺は、正直に、答えた。
「今日、この街に来たばかりなの?」
そうです、と、俺が、頷くと、八百屋の親父さんは、
「もし、まだ、宿が決めていないなら、この大通りの右奥の銀月亭が、いいかもな。庶民向けだから、宿泊代は、手ごろで、部屋もいいし、何より、一緒に営業している酒場の晩飯が、美味いんだよ」
中でも、香辛料がほどよく効いた、野菜の炒めご飯が、絶品らしい。
八百屋の親父さんと話をしながら、俺は、二つの問題点に、気付いてしまっていた。
一つは、とうざの持ち合わせが、何もないということだ。
宿にお世話になるにしても、買い物をするにしても、また、何か行動を起こすにしても、先立つものが、必要だ。
この世界の貨幣を、俺は、所持していないし、俺の財布の中の金が、この世界で流通してるとは、思えない。
もう一つは、所持金がないとしたら、どう手にするかということである。
(……働くのか?アルバイト……いや、就職?)
以上が、二つの問題点で、何れも、ゆゆしき状況のように、思えた。
考えにふけっていた俺を心配した親父さんは、眉をひそめて、
「大丈夫かい?」
と、聞いた。
俺は、精一杯笑顔をつくって、大丈夫です、と、言った。





