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今回の話に当てはめてみる。
件のノーハン商会は、武器防具を供給する側である。
武器や防具を欲しいという声が大きければ大きいほど、当たり前だが、売れる数はそれに比例して伸びていく。
戦争ともなれば、なおさらだろう。
武器屋の親父が言う王都ヨルムレイの防衛戦がどういった内容のものなのはかはわからないが、戦争であるならば、武器や防具が必要なはずだ。
武器防具の需要の急激な増大である。
戦争という外的要因により増大した需要に合わせるように、供給が増大したのだろう。
突発的な特殊な急激な需要すなわち特需と言ってもいいかもしれない。
「ノーハン商会は、そこで築いた莫大な富を元手に、武器以外の他の分野にも進出を繰り返してきた。今日日まで組織は、大きくなり続けている」
と、武器屋の親父は、言って、
「今では、本業の武器防具以外にも雑貨や食料などの生活必需品まで扱っているよ」
と、続けた。
「そう……なんですね」
スケールの大きすぎる話に、俺は、考えながら首肯するのが精一杯だった。
「今じゃ、王国内では、巨大な流通マーケットを牛耳っている組織の一つだろうよ」
と、武器屋の親父が、言った。
商売の内容としては、俺のいた世界での総合商社のようなものだろうか。
商社とは、物資の販売を業務の中心にした商業を営む業態の会社である。
総合商社とは、取り扱う商品が非常に多い商社のことだ。
武器屋の親父の言葉を借りれば、まさに「武器から食料まで」といった感じだろう。





