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「それで、お願いってのは何だ? 用事があって来たんだろう?」
武器屋の親父は、声のトーンを変えて聞いた。
(そうだ)
と、俺は、思った。
俺は、武器屋に来た目的を思い返した。
俺は、頷いてから、
「ノーハン商会について教えてください」
と、言った。
ほうと、武器屋の親父は、言った。
「ノーハン商会……か」
武器屋の親父の表情が、少し硬くなった。
(……やっぱりか)
少し嫌な予感はしていたのだ。
一昨日騒動を起こしたチンピラたちと昨日出会ったセドリグ・ノーハンの言動からすると、彼らが属しているというノーハン商会にも、同じイメージがつきまとうのは当然だ。
そして、俺は抱いたイメージは、少なくとも好印象からはほど遠い。
「あなたが詳しいと、宿屋の銀月亭のご主人から聞きました」
と、俺は、言った。
武器屋の親父は、瞑目してから、
「なるほどな。いいだろう」
俺は、木製の椅子に座るように促された。





