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非常に大人げないごまかしかただった。
しかも、口笛とは武器屋の親父の威圧感のある外見と壊滅的なまでに似合っていなかった。
それにもかかわらず、リズム感があったりする口笛は、シュールでさえあった。
俺は、ふうとため息をついた。
「俺は、買いません」
こういう時は、きっぱりと断ったほうが、相手にも失礼がないだろう。
「……ちっ」
武器屋の親父は、声に出して舌打ちまでしていた。
「……追い打ちをかけるとは、血も涙もないやつだな、おい」
と、武器屋の親父が、恨めしい調子で言った。
まあいいさと、武器屋の親父は、肩をすくめた。
「至宝であるエクスカリパーの魅力は、わかるやつだけわかればいい」
聖剣を、超重要アイテムのように言い放つのは、いかがなものだろうか。
「お前さんが望むなら、エクスカリパーのみが放つことができる、伝説の秘奥義を伝授してやることだってできるぞ」
武器屋の親父は、目を細めて、
「お前さんには、その資格がある」
と、言った。
俺がいた世界の洋画の渋い悪役の吹き替えのような、いい声での、雰囲気たっぷりの物言いである。
「間に合っています」
と、俺は、さらっと言った。





