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聖剣エクスカリパー、やはり、絶妙に弱そうなネーミングである。
オブラートに包むのをやめて言えば、聖剣エクスカリパーは、圧倒的知名度を誇る聖剣エクスガリバーのパチモンだ。
それに、エクスカリパーのネタは、正直もう勘弁してほしかった。
今日この段階で、一体何回、聖剣エクスカリパーのことを考えただろうか。
「くくっ。よもや、エクスカリパーの持ち手が、現れるとはな。お前さんが、はじめてだ」
「……」
俺は、黙っていた。
「この宝庫に長い長い年月くすぶり眠っていたが、ようやくその一振りが日の光を受ける刻が、はじめてきたようだ」
「……」
俺は、さらに黙っていた。
さももっともらしく武器屋の親父は言っているが、意訳が必要なようだ。
「ようは……このお店に長い長い間売れないで残っていたけど、やっと一本が売れそうな時がきたみたいだ……ですか?」
と、俺は、聞いた。
武器屋の親父の肩が、ぴくっと動いた。
俺は、意訳が正しいと半ば確信しながらも、
「売れていないってことですかね?」
と、確認するように聞いた。
「……」
今度は、武器屋の親父が黙る番だった。
「一本も売れていないってことですよね?」





