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武器屋の親父は、肩をすくめた。
「勢いがあって、なかなか様になっていたぜ、ぼうず」
なりふり構わず、相手に向かっていったのが、たまたま功を奏しただけだ。
(勢い、か……必死だったからな)
俺は、心中苦笑した。
「チンピラどもをのしたそのままの勢いで、イフちゃんの足の近くまで顔を近づけていたじゃないか?」
と、武器屋の親父が、言った。
「それは、否定します!」
俺は、即座に否定した。
イフに対してまぎらわしい所作をしてしまったのは事実だが、絆創膏をしてやろうとしただけなのだ。
「どさくさにまきまれて、足を触っていただろ……」
「それも、否定しますねえ!」
俺は、武器屋の親父の言を即時にキャンセル、略して即キャン、した。
「俺も、イフたんの太もも、くんかくんかすーはーすーはーしたいお」
「圧倒的否定だよ! て言うか、あの時の心ない野次はあんたかっ!」
武器屋の親父は、真顔で、
「いや。今のは、俺の隣の隣にいた野郎の台詞だよ」
「あんたじゃないんかいっ! まぎらわしいわ!」
「でも、くんかくんかすーはーすーはーしたんだろう?」
「もはや否定を通り越して拒絶したいですねえ! て言うか、ちゃんと意味わかって使ってますっ?」」





