表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

217/4637

4-6

 エクスカリパーである。


 ロールプレイングゲームいわゆるPRG(アールピージー)やライトノベルいわゆるラノベに少しでも触れたことがあるならば、低くない確率で、いやほぼ知っているであろうほぼ見聞きしたことがあるであろう、かの伝説の聖剣、ではない。


 ゲーム終盤でやっとのことで手に入れられる、圧倒的な攻撃力を誇る、あの聖剣ではない。


 聖剣と対になっている、一切の攻撃を無効化する鞘がある、あの聖剣でもない。


 あくまで、エクスカリパーなのだ。


 ありていに言ってしまえば、「バ」を「パ」に変えただけの、何とも危ういすれすれのネーミングだ。


 エクスカリパーとは、この武器屋で絶賛販売中の定価10000ネカの聖剣パチもののことである。


 剣の見れくれは、いかつい装飾がこれでもかと施されていて、オラオラ系やB系のテイストも入っている。


 イキっている聖剣で強敵に立ち向かうのは、俺としてはごめんである。


(いや、そもそも立ち向かえないだろうな)


 俺は、冷静に自分自身にツッコんでいた。


 そして、定価10000ネカという値段である。


 俺のいた世界の1円がだいたいこの異世界の1ネカに相当するということは、わかっている。


 10000ネカはおおよそ10000円という計算である。


 ざっくり言うと、定価10000円の聖剣パチものというわけだ。


 ちなみに、ポイントカードでポイントを30個集めていれば、神々の黄昏(たそがれ)ラグナロクのパチものであるラクナロックと両方セットで500ネカだったはずである。


 そして、エクスカリパーを運べなかったのが、俺が不採用になった理由だった。


 店の入り口までエクスカリパー十本を運ぶように頼まれたのだが、想像以上の重さでびくともしなかったし、まずいことに、中途半端に担ぎ上げた聖剣レプリカの一振りを、派手に落としてしまったのである。


「掴むことができなかった、ねえ……」


 武器屋の親父は、凄んだ声で俺に話しかけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42bpk4s771sz1iupmgjda531438n_aix_5k_8c_2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ