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ヴィセントの街の空は、快晴に包まれていた。
果物のゴンリが入った紙袋を携えた俺は、武器屋の前に立っていた。
(うーむ)
と、俺は、見上げながら唸った。
サングラスをかけたウサギが刀を構えているという、インパクトは抜群なものの若干シュールなモチーフの看板が目立つ、武器屋である。
ちょうど開店の準備をしているようだ。
俺は、緊張しながら一歩進んだ。
「ごめんください」
と、俺は、言って、店の中に入ると、
「何だ? まだ、開店準備中だぞ。何か欲しいなら、もうちょっと待っとけ」
と、俺に背を向けたままの武器屋の親父が、言った。
声も渋いのだが、威圧的である。
「昨日はどうも」
と、俺は、言った。
振り返った髭面の強面の親父が、ぎょろりとした目で、俺を見た。
「あ?」
恫喝一歩手前の一文字の一言である。
「誰かと思えば、昨日クビにした坊主か。何だ、また来たのか」
入店一番に投げかけられた言葉が、これである。
ぶっきらぼうな雰囲気を隠そうともしない武器屋の親父だ。





