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「よお! よくきてくれたなあ、元気だったか?」
そう明るく応じてくれたのは、露天商の八百屋の親父さんである。
武器屋に行く前に、今日のクエストの際の小腹が空いた時用に果物を買っておこうと考えたのだ。
今日はデエカの実の調達クエストで、場所は、ヴィセントの街から五ロキルトーメすなわち五キロメートルほど離れた、ネムリアの森というところだ。
移動中に食べる感じになるかもしれない。
「おかげさまで元気です。今日は、果物を買いにきたんです」
と、俺は、言った。
「どれにするんだい?」
と、八百屋の親父さんが、聞いた。
昨日の別れ際のイフの沈んだ顔が、頭にうかんだ。
俺は、豊富に並んだ野菜や果物のラインナップを見ながら、
「……そうですね。元気が出るものがいいですね。あと、移動中に食べるかもしれないです」
と、言った。
「なるほど。持ち運びが楽で、外でも食べやすい。それに、元気が出る、か」
八百屋の親父は、うんうんと頷きながら、
「じゃあ、やっぱりこれだな! ゴンリ、うちの自慢の一品よ。しかも、朝採れときたもんだ」
そう言いながら、八百屋の親父さんが手に取ったのは、リンゴを思わせる赤い果物だ。
「じゃあ、それをください」
「毎度あり!」
八百屋の親父さんの威勢のいい声が、響いた。





