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「……ちょっと、視線が冷たいぞ」
俺はそう言いながら、顔を至近距離まで近づけてきているアカリに、とまどっていた。
当のアカリは、そんな俺の困惑ぶりなどには気付かないようだった。
まったくの無防備で、俺に顔を近づけてきているのである。
「……じ~」
ありていに言えば顔が近い、と言うよりも、近すぎである。
(……近い……)
と、俺は、改めて思った。
雪のように白くてきめ細かなアカリの肌は、可憐な女の子のそれである。
少し長めの栗色の髪は、ふわふわである。
西洋人形のようにぱっちりとした目元には、整った眉毛が綺麗に並んでいた。
それに、何だか甘い心地よい香りもする。
「じー」
「ちょっと、視線が見下しているような感じになったぞ」
「じっ……」
「ちょっと! 何でいきなりゴミを見るような感じになるんだよ!」
「じ…………」
「もはや軽蔑指数マックスオーバーの感じだな!」
思わず、俺は、ツッコんでいた。
視線が交錯すること一分ほど、白旗をあげたのは、俺のほうだった。





