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「むうぅ……」
と、アカリは、頬をふくらませていた。
俺は、アカリの態度が少し気にかかっていた。
何だか必要以上に、俺につっかかってきているように感じるのは、気のせいだろか。
「まあ、言い出したのは、俺だよな。そこは認める」
と、俺は、言った。
「言い出したのはソラ君なんだから、えっちなのもソラ君だよ」
アカリの軽蔑するようなじと目が、俺に突きささった。
「なん……だと」
俺は、呻いた。
強引な三段論法だ。
三段論法自体は、よく援用されるもので、大前提と小前提から結論を導き出す推論方法である。
簡単に説明すると、以下のような論法である。
AはBである。→BはCである。→よってAはCである。
今の現在進行形のこの場合は、以下のような流れになっているのだろう。
言い出したのは俺。→話の内容はアカリに言わせればえっちな内容→よって俺はえっちである。
「いやいや! そこは認めん」
と、俺は、言った。
「……じ~」
アカリの突き放したような視線である。





