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「……ロン」
アカリが、ぼそっと言った。
しかし、よく聞こえない。
ロン、と聞こえたような気がするが、麻雀のロンのことでもなさそうである。
ちなみに、麻雀のあがり方は、二種類存在する、ツモとロンである。
ツモは、最後のあがり牌を自分で引き当てるあがり方である。
自分の番に牌をひいてその牌であがりであれば、ツモと宣言する。
ロンは、最後のあがり牌を相手の捨てる牌で補うあがり方である。
他者が捨てた牌が自分のあがり牌であれば、ロンと宣言する。
いずれにしても、雀卓も牌もないのだから、むろんアカリがロン宣言したわけではない。
「すまん。よく聞こえなかった」
俺の言葉に、アカリは耳まで赤くなってうつむいた。
「……だから……プロン」
アカリの声は、すり切れそうだった。
「もう一度言ってくれ」
と、俺は、言った。
俺の一言で、アカリの中で何かが決壊したようだった。
アカリは、振り切った声で、
「だからっ……! は、裸エプロン……っ!」
と、言った。





