表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

185/4637

3-101

「あんたに言われなくても、そうするさ」


 俺は、短く返した。


 酒場兼食堂の賑やかさは、さきほどからいささかも変わっていない。


 しかし、その中にあって、俺とセドリグそしてイフのまわりには、不穏な空気が(ただよ)っていた。


 セドリグは、いい返事だと笑って、


「リリーカルナ商会のご令嬢だ。何かあったら、君の命では全然足りないからね」


 と、言った。


「……」


 俺は、黙って聞いていた。


 セドリグは、いや待てよと思い直したように言ってから、


「失敬。君が、イフに守られるほうかな? まあ、せいぜいがんばってくれ」


 と、続けた。


(こいつ……)


「じゃあ、そろそろ行くよ。イフ、ココノエ君、失礼。今晩のよい眠りと明日の幸福がありますように」


 そう言ったセドリグは、悠然(ゆうぜん)とした物腰で、俺たちの席から去っていった。


 俺たちは、しばらくの間無言だった。


 向かいの席に座っているイフはうつむいていたから、白銀の前髪に隠れたその表情はよく見えなかった。


 それでも、さきほどまでの元気が消えてしまっているのはわかった。 


「……スープが冷めてしまいましたね。早く食べましょう」


 そう言ったイフは、スプーンを手に取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42bpk4s771sz1iupmgjda531438n_aix_5k_8c_2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ