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「ノーハン商会の人たちが、ああいったことが起こさないよう、徹底してもらえると助かります」
イフの口調は、挑戦的だった。
セドリグは、大げさに首肯した。
「もちろん。ただ、商売がら、うちも荒れくれ者が多いということも理解してもらえると嬉しいな」
セドリグは、暗にイフの言葉に約束はできないと、そう答えているようだ。
「よくない噂が、噂にすぎないことを祈っています」
と、イフが、言った。
「君が言うことだ。心にとめさせてもらおう」
セドリグは丁寧に応じたが、その態度は、慇懃無礼そのものだった。
「明日も、ココノエ君だったか、彼とクエストに出るのかい?」
と、セドリグは、話題を変えるように言った。
「そのつもりです」
と、イフが、返した。
セドリグは、イフと俺を交互に見た。
「あまり無理はしないようにね。健闘を祈っているよ」
イフは、にこりともせずに、
「ありがとうございます」
とだけ言った。
「ココノエ君も、イフをしっかりと守ってやってくれ」
と、セドリグは、俺に向かって言った。





