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伴侶とは、結婚相手のことをいう、はずである。
将来の伴侶ということは、将来の結婚相手ということなのだろうか。
(冗談だろ……?)
と、俺は、思った。
俺は、驚いてイフを見たが、イフは視線を落としたまま黙っていた。
(イフとこいつとじゃ、だいぶ年が離れていると思うが……)
俺の思考を見通すように、男性は、
「年の差はあまり気にするものではないというのが、僕の持論でね」
と、言った。
確かに昨今、テレビやネットのニュースでも、著名人や芸能人の年の差婚を目にすること耳にすることは増えているとは思うが、まだまだ珍しいことには変わりはないように思える。
「私の祖父が勝手に決めたことです。私は、了承していません」
と、イフは、男性に向かってきっぱりと言った。
男性は、イフの言葉には逆らわずに、
「そうだね。君のお祖父さまである会長と、うちの会長が、口約束をしただけの状態だ」
と、理解を示したように言った。
「だったら……!」
「だが、力ある人物二人が口約束までしたんだ。この事実の重さは、まだ幼い君にもわかるんじゃないのかな?」
男性の口調は、まるで駄々っ子をあやすそれだった。
「……っ」
一方のイフは、黙ってしまった。





