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3-86

「こっちもうまいな」


 俺は、(うな)っていた。


 自然と、そんな言葉が口をついて出てきていた。


 ハンバーグめいた肉料理とメンチカツめいた揚げ物、どちらも甲乙つけがたい一品だ。


 次に来た時に、どちらを頼むか、判断に迷うほどである。


(うむ……)


 と、俺は、自身のプレートとイフのプレートとを交互に見た。


「もう少し食べ比べる必要があるな」


 と、俺は言って、イフのプレートのハンバーグめいた肉料理にフォークを伸ばして、一口食べた。


「ああああああああああああああああああああああああっ!」


 イフが、素っ頓狂な声を上げた。


「一つって言ったじゃないですか! 一つって言いましたよ! ソラっ、許しませんよ」


 泣き顔になったイフのフォークが、俺のプレートに伸びてきて、メンチカツめいた揚げ物を二切れ持っていかれた。


「ぎゃああああああああああああああああああああああっ!」


 今度は、俺が叫ぶ番だった。


「何やってるんだ! 何やってんの? 二つは、反則だろうっ!」


 俺とイフの視線が、交錯(こうさく)した。


「ソラが、勝手に食べるのが悪いんですよ。私にとって、このグーバンハは自分へのご褒美なんです」


 メンチカツめいた揚げ物二切れを、小さな口で一生懸命もぐもぐしながら、イフが恨み節で反駁(はんばく)した。


 今はそれどころではないが、俺が失敬したハンバーグめいた肉料理は、グーバンハと言うようだ。

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