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そんな女神様との出会いの後に、気付くと、俺は、だだっ広い草原にいた。
「ここが、異世界……なのか?」
俺の前に、広がっている光景は、見渡す限りの、草原だ。
きわめて、牧歌的な景色で、空を見上げれば、白い雲が、広がっているし、少し、耳をすませれば、鳥の声が、する。
長閑な風景が、どこまでも、続いていた。
エストが言っていたような、モンスターや魔族、はては魔王とは無縁のようにさえ、思えてくる。
(スライム、ゴブリン、オオカミ、鳥型モンスター……草原で遭遇しそうなのは、この辺りかな?)
あまり詳しくないRPGの知識を引っ張り出してきて、俺は、漠然と、そんなことを、考えていた。
ゲームは、あまりやらないほうだが、それなりに、話題になっているものや流行っているものは、インターネットからの情報やクラスの友人たちとの話で、わかっていたし、人並みには、ゲームはしていたと思う。
(死んでしまったので、プレイしていた、と、過去形になってしまうわけだが)
と、俺は、心中嘆息した。
この世界にも、ゲームは、あるのだろうかとも思ったが、それは、おいおいわかってくるだろう。
俺は、RPGには、あまり手を付けなかった。
理由は、俺自身、単純で、飽きっぽい性格だからだ。
レベルを根気よく上げてボスを倒してストーリーを進めて、またレベルを上げてボスの倒してストーリーを進めるという、ロールプレイングゲーム好きにとっては醍醐味なのかもしれないが、それが、作業と言うかルーチンワークと言うか、面倒に感じてしまうのだ。
ダレてしまうという状態だろうか。
何百万本と売れている有名なシリーズ物や総プレイ時間〇〇時間の超大作は、食べず嫌いと一緒で、プレイしてみたら、きっと面白いのだろうが、三日坊主の俺にとっては、やはり、やり遂げるのは難しい代物である。