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「よろしくな!」
と、気さくな感じで俺に挨拶をした男性は、うまそうにジョッキをあおった。
琥珀色の炭酸の酒のようだ。
ビールによく似ている。
「ゴブリン退治にカタがついたんでな。今日は、仲間たちと、祝宴ってやつだよ」
と、男性が、言った。
「イフちゃんたちも、クエスト帰りかい?」
「はい。チニチニの花の調達クエストです」
と、イフが、答えた。
「ああ。掲示板にも、定期的に出ているやつか。報酬は少なめだが気軽に受けられるから、いいよな」
と、男性は、思い出したように言って、
「あのあたりの草原は、モンスターが出るといっても、何カ月かに一度、ピンのモンスターがひょこり顔を出すだけだからなあ。安全だし、悪くない」
「そう、ですね」
イフは、少しぎこちなく答えた。
(何カ月かに一度出るだけ、か)
と、俺は、思案していた。
やはり、あの辺りであのスライムの大群と遭遇するのは、かなりイレギュラーな出来事のようだ。
男性は、俺たちのクエストの経緯は知らないだろうから、イフの微妙な口調の変化には意を介さなかった。
「イフちゃんの成長の速さには、驚かされるばかりだよ。努力家だからな、この子は」
男性に誉められて、イフは、両ひざをぴったりとつけて恥ずかしそうにうつむいた。





