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数分もすると、目的の量の花が摘み終わっていた。
「帰るか」
俺は、チニチニの花の入ったバスケットを、イフの分まで含めて二つを抱えて、イフに言った。
「私の分まで、ありがとうございます」
感謝の言葉を述べてくれたイフに対して、俺は、笑った。
「気にしなくていいよ」
軽いと言えば嘘になってしまうが、男の俺にとって、二つのバスケットはたいして重くもなかった。
逆に、小柄なイフにはこの重たいバスケットはきついだろう。
活躍できるところではきちんと貢献しておく、俺のモットーの一つである。
俺たちは、ヴィセントの街に向かって歩き出した。
イフは、少しためらったような素振りをみせたが、思い切ったように、
「あの。ソラ……!」
と、話しかけてきた。
「何だ?」
イフの真剣な表情に、俺は少しとまどった。
「ラテュレ様は言っていましたよね。最初にソラの"六芒星測定"の魔方陣が白紙だったのは、エラーだって」
「そうだったな。血の量が多すぎたらしいな」
俺は、肩をすくめて特に話の流れに逆らわずに頷いた。
「……エラーだというのは、本当に正しいのでしょうか?」
と、イフは、言った。





