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イフは、そのままとさりと両ひざを草の上についた。
「何て……威力……」
と、イフが、小さく呟くように言った。
(……俺自身、驚いているよ)
俺も、内心ではすっかり放心していた。
ゲームの世界でのCGは昨今ではものすごくリアリティがあるが、それがそのまま目の前に持ってこられたような不思議な感覚である。
「えーと……終わったんだよな?」
いまいち実感がわかず、俺は、そんなことを言っていた。
「はい……」
イフは、俺の言葉を肯定した。
クエストの目的であるチニチニの花の調達はほとんど済んでいた。
目標の調達量まで後少しだ。
「残りをやってしまおう」
と、俺は、イフに提案した。
イフも、こくりと首を縦に傾けた。
残りの分を、俺とイフとで摘んだ。
身体が、やけに重くなっていた。
"入力実装"を使った反動だろうと思われた。
「筋肉痛になりゃなきゃいいんだがな……」
と、俺は、誰にというわけでなく苦笑しながらチニチニの花を摘んだ。





