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3-62

 体感ではあるが、今は午後の三時ぐらいだろう。


 青空とそよ風が心地よかった。


 俺とイフは、クエストの目的地である草原まで来ていた。


 ススキのような少し(たけ)のある植物も散見されるが、それ以外の遮蔽物(しゃへいぶつ)もなく見晴らしがいい。


(モンスターはいなさそうだな)


 俺は、心中ほっとしていた。


 ヴィセントからここまで来るのに、街道で何度か馬車と人とすれ違った以外は、何ものとも遭遇(そうぐう)しなかった。


 目的物であるチニチニの花は、一帯にたくさん自生していた。


「わあっ!」


 イフが、感嘆の声を上げて小走りに踏み出していた。


 チニチニは、匍匐性(ほふくせい)のある植物である。


 匍匐性とは、成長においてあまり垂直方向に枝葉を伸ばそうとせず、水平方向に地面の上に伸びる性質をいう。


 匍匐性の植物では、地面を覆うように伸びていくのである。


 チニチニの葉は長楕円形で、葉が茎から出るとき茎の同じ高さから向き合うように二枚の葉が出ている。


 花は人差し指程の大きさで、花弁は五つに分かれている。


 イフによると、チニチニの花は、薬草の原料として重宝されているらしい。


 見渡す限りに薄赤のチニチニが生い茂る様子は圧巻そのもので、まるで淡い赤の広大な絨毯(じゅうたん)である。


「ソラ、見てください! とっても綺麗です」


 白いワンピースを上下にふわふわと揺らしながら、イフが、言った。


 テンション高めのイフの声に、俺まで楽しい気分になっていた。

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