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三段階活用でいて、まったく三段階活用ではない台詞回しである。
「もはや別物だな、おい! しかもピー音を入れないと成り立たない掲示板の文句とはすごいな!」
「褒めているんですか?」
「驚愕してるんだよ!」
この数分の間にどれだけビックリマーク、雨だれ、エクスクラメーション・マークを使ったことだろうか。
「原文のままだと、何のクエストなのかすらわからないぞ、いやそもそも、クエストなのかすら怪しいだろ」
「ある程度オブラートに包んで訂正されたようですね」
「訂正というか、もはや全面修正だけどな! 原文の欠片もないけどな!」
俺は、ツッコミながら肩で息をしていた。
冷静に考えれば、ギルドの修正が入るほどに元の文面がよろしくない可能性は多分にあったのである、それに気付かなかっただけだ。
単純な盲点だったのだ。
「……まともなクエストは、ないのか?」
俺は、一縷の望みに託すようにもしくは祈るように、力なく静かに言った。
「もちろん、たくさんありますよ」
と、イフは、言って、
「たまたま変わったものに目がいってしまっただけです」
と、俺を励ますように続けた。
「イフ。君が気になっているものを、言ってくれ」
と、俺は、イフに言った。
「いいのですか?」





