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3-51

「スライムって雑魚モンスターですよね……別に無双は求めていませんので、もう少しわかりやすい例えで……」


「そして。四天王には()けます、多分」


 マーシャルはずばりと言った、ずばりと言ったものの語尾に多分とつけているあたり、かなり頼りない台詞だ。


「……」


 俺は、黙った。


 まったく想像がつかなかった。


「火と水と風と土の四天王がいるとされています。詳しいことは、残念ながらわかりません」


 と、マーシャルが、言った。


 四天王と言えば、剣と魔法のRPG(アールピージー)の世界の中では中盤から終盤にかけて登場する重要な位置づけであり、基本的には強敵であることが多い。


(スライム五十匹以上、四天王未満……)


 口の中で復唱してみたが、まったく強さの見当がつかない。


「しかし、火の四天王は辛い食べ物が好きだという目撃情報があります」


 そして、ギルド受付嬢のマーシャルの知識は少し偏っているようである。


 とても重要そうにマーシャルは教えてくれたが、どうでもいい情報のような気がしなくもないし、食べ物の好みではなくて、弱点属性とか、そういった有意義な情報を知りたいところだ。


 辛い食べ物好きという噂が流布(るふ)されているあたり、その火の四天王というのも大概(たいがい)だと思うが、火の四天王の威厳というかそんなもののためにも、誤情報であってほしいところである。


「ええと……スライム、ゴブリン、ゴースト……この辺りの低級モンスターと遭遇してもまったく問題ありません。囲まれたとしても、十二分に対処できるでしょう。砦を守っているようなボス級モンスターとの戦闘には、注意が必要です」


 イフのナイスアシストが入った。


(おおっ!)


 俺は、心中合点がいった。


 レベル上限が99のゲームで言えば、おおざっぱに考えれば、レベル20前後のような感じに思えた。

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