表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/4639

3-46

 ラテュレは、羊皮紙の魔方陣に右手をかざした。


 羊皮紙が、ぼうっと青白い光を放った。


 墨汁がにじんで半紙の上で線になるように、青白い光はゆっくりと多角形の線を作り出していった。


「適当なステータスをみつくろっておくわ。いんちき八百長もしくはでっち上げの虚偽のステータス。どう使うかは、あなたの自由よ」


 と、ラテュレは、いたずらっ子のようにほほ笑んだ。


 羊皮紙に描かれている大きな円の内側には、青い線の六芒星が浮かび上がっていた。


 イフのものよりも小さめな六芒星である。


「これはひどい」


 ラテュレは、六芒星をまじまじと見ながら言った。


「何とも無難なものが、できあがったわ。何の特技も特殊技能もなさそうな平々凡々のつまらないステータス」


「……自分でつくったんだろう?」


 と、俺が呆れたように聞くと、ラテュレは悪びれずに、


「そうよ? でも、かなりいい加減につくったから」


「……あのな」


「あなたの力は、とんでもないわ。まるで、女神エストの加護でも受けているかのよう」


 ラテュレは、何気ない調子で言ってくすりとほほ笑んだ。


 俺は、背筋にうすら寒さを覚えた。


 なぜこのタイミングで、女神エストの名前が出てきたのだろうか。


 ラテュレの幼い碧眼(へきがん)は、俺の何かを見透かしているのだろうか。


 俺は、疑心暗鬼(ぎしんあんき)袋小路(ふくろこうじ)に足を踏み入れかけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42bpk4s771sz1iupmgjda531438n_aix_5k_8c_2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ