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3-45

「話が脱線してしまったけれど、つまり、この白紙の魔方陣はこれで正解なの。これが、意味するところは、ひとつよ」


 カウンターでの俺とラテュレとのやり取りは、イフやマーシャルには聞こえていないようだった。


 ただ、イフが心配そうにこちらを見ているのはわかった。


「魔方陣が真っ白なのは、そこに描かれるものがなかったから。ただし、あなたの六芒星は確かに存在している。それは、なぜ?」


 俺は、ラテュレの言葉の続きを待った。


「マーキングが、すべて魔方陣の大円の枠外だということ。羊皮紙の魔方陣の外にあなたの六芒星は、存在している。だから、この羊皮紙には、点も線も存在しない。つまり、すべての資質が規格外、オール・オーバーと呼ぶのが適切よ」


 ラテュレは、真摯な調子で言った。


 オール・オーバー、中二ライクに響く言葉である。


(オール・オーバー。通り名とか異名の話でもなく、事実を表す意味での言葉ならば……)


 俺の思考を補完するように、ラテュレは、


「物理攻撃力・物理防御力・敏捷性などの身体的な能力の資質は規格外、魔力攻撃力・魔法防御力・精神力などの魔術的な能力の資質も規格外、全て規格外ということよ」


 と、言って、


「あなたは、何なの……?」


「俺は……」


「A級……いいえ、その枠を飛び越して、S級だと思うわ。英雄級と言っていい」


 何と言いのだろうか、俺は言葉に詰まった。


「さっきのはほんのお遊びだったけれど、あなたとは本気でやりあいたいぐらいよ」


 ラテュレは、ジュースの入ったグラスを傾けた。


 逡巡(しゅんじゅん)している俺に対して、ラテュレは、ため息をついた。


「まあいいわ。言いたくないことや言えないことの一つや二つ、誰にだってあるもの」

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