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「あ、ジジイというのは、私のお師匠様の大賢者グローシスのことね」
ラテュレはあっけらかんとした調子で言うので、俺は呆れて、
「……口が悪いな」
「あら。少しぶっ飛んでいるほうがかわいいって言うじゃない?」
「いや、言わんと思うぞ」
と、俺は、ツッコんだ。
「こんなに清楚でかわいらしい美少女が少し言葉が悪いのって、アンバラスで逆に萌えポイントじゃない?」
「清楚じゃなさそうだし、言葉が悪いのは良くないし、萌えポイントとやらは少なくとも俺にとっては当てはまらないぞ」
ぼんやりと感じたのは、ラテュレという少女はこんな造語があるのかはわからないが、薔薇系女子だということだ。
外見は素晴らしいが刺が増し増し盛りの扱いが難しいタイプではないだろうか。
「ふーん」
ラテュレは、俺のほうをじっと見た。
「何だよ?」
「私がかわいいってところは、否定しなかったわね?」
「そこはその通りだろ」
ラテュレが俺の顔をまじまじと見てくるものだから、距離がとても近い。
「なかなか攻めているわね。攻められるのは、嫌いじゃないわ」
ラテュレは、にっこりと笑った。
俺は、ラテュレの言葉の意味がわからず目を細めた。
ラテュレの呼吸が頬にかかるし、髪からだろうか、花を思わせるいい香りがした。





