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「イフも知っていたんだな。大賢者の一番弟子」
俺は、こそっとイフに言った。
「ラテュレ様ですよ」
「名前よりも、大賢者の一番弟子のインパクトが強いんだよ。それに、大賢者って言ったら、渋カッコいい爺さんのビジュアルを思い浮かべるし、その一番弟子があんなにちんまりした子っていうのも……」
「失礼です」
「すごそうなのは、わかった」
「すごそうではなくて、すごいんです。冒険者で知らない者は、いないと思いますよ。ただあんなに若いかただとは、私も知りませんでしたけど……」
「若いって、言いかた、どう見ても君とおなじくらいの女の子だぞ」
「……そこは意外でしたが、魔法の才能に年は関係ありません」
俺が小声でイフとやり取りしていたのを、相手は耳ざとく聞いていたようで、
「定期視察で、この街にきていたの。でも、この私のことを軽んじるような、あなたのようなふととぎ者と会うなんて、想定外だし少し不愉快ね」
ラテュレの言葉に、俺は心中頷いた。
(そういうことか)
と、俺は、思った。
このヴィセントの街をどうこう言うつもりはまったくないが、大賢者の一番弟子という肩書の者が、支部的な位置づけのこの冒険者ギルドにいるのが、腑に落ちなかったのである。
「あなたたちは、魔方陣が機能していないことに騒いでいたようね」
「は、はいっ」
イフが、こくりと首を縦に振った。
「原因は、大体わかるわ」
ラテュレは、瞑目してさらりと言った。





