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俺は、内心の焦りがもれ出ないように平静を装いつつ、
「……測定なんだが、俺はいいかな、なんて思ったりしていたりだな……」
極力さりげない感じで言った俺に対して、イフとマーシャルは、鳩が豆鉄砲をくらったような表情である。
「何を言っているんですか? 測定しなければ、冒険者登録すらできないんですよ?」
まったくもってイフの言うとおりである。
だが、ここで簡単に引き下がるのも野暮だ。
(食い下がることは、別にまずいことじゃない)
と、俺は、思った。
何事も一度は反駁するのも悪くないというのが、俺の持論だ。
いかにもな調子で語ってみたが、要は、当たって砕けろもしくはダメで元々である。
「測定の仕組みは理解したんだし、まあ……人生色々、事情も色々あるんだよ」
自分で言いつつ、苦しまぎれで説得力のない言い訳だ。
「痛いのが苦手だったりするのですか?」
マーシャルが、冗談半分な調子で聞いた。
「ははは。そんなことあるわけないでしょう。これでいいのかな」
俺は、会話に合わせるように、刃物で指に傷をつけていた。
テンパっていたから、思わず会話の流れにのってしまったのだ。
俺の傷の入った指から、漫画のようにぶしゃあと血が噴き出した。
(……って、血ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!)
俺は、心の叫びをあげていた。





