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そんなふうに俺が血液に思いめぐらせて恐怖していると、イフの血がにじんだ羊皮紙が、ぼうっと青白い光を放った。
「おおっ……!」
俺は、思わず声をあげていた。
墨汁がにじんで半紙の上で線になるように、青白い光はゆっくりと多角形の線を作り出していった。
何とも幻想的な光景である。
一分ほど経っただろうか。
羊皮紙に描かれている大きな円の内側には、青い線の六芒星が浮かび上がっていた。
(なるほど)
俺は、得心した。
羊皮紙の魔方陣の六芒星は、物理攻撃力・物理防御力・敏捷性などの身体的な能力の資質、魔力攻撃力・魔法防御力・精神力などの魔術的な能力の資質を、示すという。
六項目の資質を示す点が、大円の中心点から、大円の外周に配置された六個の各円に向かって、マーキングされている。
大円の中心点が最低ラインで大円の外周が最高ラインなのだろう。
そして、マーキングされた六点が線によって結ばれて、六芒星が描かれているのだ。
だから、普段目にするようなシンプルでスタンダードな六芒星とは、形が少々異なっている。
仮に六芒星がとても小さいものならば、各資質がとても低い水準にあることを示すのだろうし、大きければ、その逆だ。
(どこかで見たことがあると思ったんだよな)
と、俺は、考えていた。
この六芒星は、簡単に言ってしまえば、レーダーチャートのようなものだ。
レーダーチャートは、複数の項目の大きさを一見して比較することのできるグラフである。
レーダーチャート形式で得点率を表示している模試の成績表にも、似ているような気がした。





