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「あら。タイミングばっちりじゃないですか」
と、マーシャルは、合いの手を入れるようにいった。
「たまたまですよ」「い、いえっ」
またもや発声タイミングが、かぶったようである。
俺は、お先にどうぞという具合にイフに手をさし出すと、イフも、同じ具合に俺に手をさし出したものだから、指の先同士がこつんとぶつかりあった。
「ごめん」「ごめんなさいっ」
俺と少し赤面したイフの目と目が合った。
何ともふわっとしたコントでもやっているような感じだ。
そんな俺たちのやり取りを見ていたマーシャルは、くすくすと笑って、
「はいはい。リア充おつです」
と、言った。
(……何かこの人意外とノリがいいな)
「それだけタイミングばっちりということは、相性はよいのだと思います」
確かに、タイミングはばっちりかもしれないが、言っている内容は、二人ともお互いに明後日の方向を向いている模様だ。
マーシャルは、眼鏡のフレームに手をやって、
「それでは、そろそろ本題に入ります」
「はい」
と、俺は、返事をした。
俺は、自分の声が少し上擦っているのがわかった、緊張しているのだろう。
「ココノエさん。あなたの基礎能力を測定します」





