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ふと真横から視線を感じた。
イフである。
ちらりと俺がイフを見ると、イフはすっと視線を逸らした。
(気のせいか)
俺は思い直して、視線を前方に戻した。
すると再び視線を感じた。
ちらっと俺がイフを見ると、イフはふっと視線を逸らした。
俺も視線を戻すのだが、またもやじーっという控えめな視線を感じた。
(何だ、これは)
俺は、少しとまどった。
同じやり取りが延々と繰り返されるような状況、千日手である。
千日手とは、将棋やチェスなどのボードゲームにおいて駒の配置と手番が全く同じ状態が一局中に何度も現れることをいって、双方とも他の手をさすと不利になるので同じ手順を繰り返してさすほか仕方がなくなるのである。
将棋では、同一局面が四回現れた時に千日手が成立し無勝負となり指し直しとなる。
(俺がおりたほうが早いだろう)
と、俺は、思った。
俺は、視線を動かすのではなく、イフに向き直った。
「イフ」「ソラ」
俺たちは、同時に発声していた。
「どうしたん……」「いえあのっ……」
間が悪いというか、まったく噛み合わない、相性が悪いのだろうか。





