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「イフちゃんは、錬金術師としての実力は確かです。元冒険者である私も、太鼓判を押します。この年で、たいしたものです」
マーシャルは、イフを見ながら言った。
その表情は、妹を見守るような落ち着いた穏やかな顔である。
(ほっとけない妹分……ってところなのかもな)
俺にも妹がいたから、何となくわかるのだ。
俺は、嬉しくなった。
ですがと、マーサルは、付けくわえた。
「なにぶん冒険者としてはギルドに登録してから日が浅い」
イフは、黙ってマーシャルの言葉を聞いていた。
「持ち前の資質と努力で、すばばらしい勢いで実績を残して階級をあげていますが、まだまだFFF、いわゆる売り出し中の新人さん、ルーキーです」
と、マーシャルは、言った。
「イフちゃんとココノエさんは、言わばルーキー同士のパーティーというわけです。バランスは、悪くないですね」
マーシャルは、冒険者ギルドの受付ということもあって鋭い分析眼をもっているようで、言っていることは間違っていないと思われた。
FFFならば、十九ある階級の中では下から数えたほうが早い、低級階級だ。
そして、俺がどの階級からスタートになるのかはわからないが、普通に考えると下から数えたほうが早いところになるだろう。
(無理ができないことが、逆に強みだな)
と、俺は、思った。
クエストの受付には、階級による制限があったはずである。
つまり例えば、D級の冒険者にぴったりなクエストがあった場合、そのクエストの難易度はE級と見なされて、F級以下の冒険者はそのクエストの申請をそもそも受け付けてもらえないといったあんばいだ。
入試の一次試験の足切りのようなものだろう。





