3-19
マーシャルは、俺に向きなおって、
「イフちゃんとパーティーを組むんですか?」
と、聞いた。
「はい。そう考えています」
と、俺は、答えた。
「あの、マーシャルさん。ちゃん付けは、やめてください」
イフは、ちゃん付けという呼ばれかたが気にくわない様子だった。
「いいじゃない。ある年齢までいったら、呼んでもらいたくても呼ばれなくなるのよ。私だって、そうやって呼ばれていた時期もあったのよ。でも、でもね……」
「……?」
イフは、マーシャルの言葉の意図が読み取れず、小首をちょこんとかしげていた。
一方の俺はと言えば、戦々恐々(せんせんきょうきょう)で、
(……おいおい雲行きがあやしいぞ)
「イフちゃん。その可愛いワンピースだって、着れる時に着ていたほうがいいのよ。私だって、短めの可愛いスカートとか嫌いじゃないしむしろ好きなの、でもね……」
マーシャルの眼鏡が謎の光を放って、その表情がどんよりとよどみ一切読み取れなくなった。
俺たち三人の間に、何やら不穏な空気が、ただよいはじめていた。
(闇の深い話かもしれない)
俺は、漠然とそんな雰囲気を感じ取って、慌てて、
「さっそくですが、申請をお願いできますか?」
我に返ったように、マーシャルは、咳払いをした。
「そうでしたね。では、手続きしましょう」





