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3-17

 "紫紋の聖服(パープルパラディン)"。


 何とエキサイティングな防具名だろう。


 しかし残念ながら、俺の学生服は、どこまでいっても単なる学生服である。


 しかも、刺繍されているのは、紋章ではなくて普通の校章だ。


 学校指定の洋服屋で数万円で購入したものだ。


 この学生服が何とか聖騎士(パラディン)だというのなら、学生服を着た生徒たちはみな聖騎士(パラディン)で、聖騎士(パラディン)まみれの学校ということになってしまうし、聖騎士(パラディン)専用のような防具が俺のような一般人に着こなせるわけもない、聖騎士(パラディン)を連呼したが、とどのつまりこの女性の憶測は的外れでナンセンスだ。


 いわく、聖騎士(パラディン)のバーゲンセールである。


(そんなお買い得なパラディンがパラパラいるんじゃ、おかしいだろう)


 自分でも何を考えているのかあやしくなってきたが、パラディンは否定しておきたかった。


 俺は、控えめに手をあげて、


「あ……いえ、違うと思いま……」


 しかし、受付の女性は、ひどく深刻な顔で、


「否定するということは、隠しているということ……! 私の推測どおりですね。大丈夫です、秘密にしておきます。ここまで見抜けるのは、実は古文書にも精通している私ぐらいな者でしょうから」


 頷きながら言い切った女性の顔は、若干どや顔気味だ。


 くわえて、眼鏡をきらっと光らせて、見抜きましたよと言わんばかりの得意顔である。


「これはですね、学生服と言っ……」


 俺が、言い終わらないうちに、


「野暮なことを聞いてしまいました。今のは聞かなかったことにします」


 受付の女性は、勝手に自分で納得してしまったようだった。

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