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ギルドに着く前にイフから通り一辺倒の説明は受けていたので、ギルドでの受付での手続きも、スムーズだった。
「ココノエ・ソラさんですね?」
と、受付の女性が、言った。
フレームなしの眼鏡がよく似合っている知的な感じの女性である。
俺とイフは、顔を見合わせた。
なぜこの女性は、俺のことを知っているのだろうか。
「その恰好は、ヴィセントでは見かけませんからね」
と、受付の女性は、ほほ笑んだ。
俺は、自分の学生服を見た。
確かに、この異世界においては、俺のこのいでたちは奇異に見られるかもしれない。
「知っていますよ。隠しても無駄です」
受付の女性の眼鏡が、きらりと光った。
俺は、思わせぶりな言葉に、緊張した。
「ソラ……?」
イフが、不安げに俺を見た。
受付の女性は、一呼吸おいた。
俺とイフと受付の女性のトライアングルの空間に、じんわりとした緊張の空気が奔った。
「あなたの服は……その見たこともない装飾そして刺繍された紋章……そう、聖騎士が装備していたという伝説の防具、"紫紋の聖服"……ですね?」
とんでもなく中二心をくすぐるニュアンスの名前の登場である。
しかし、名前以前の問題がありすぎると思われた。





