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 エストは、両手を広げて、宣言するように、


「では、改めて、九重空(ここのえそら)さん。あなたは、あなたの記憶が示す通り、亡くなりました」


 と、言った。


「そして、この世界……あなたにとっては、今までとは異なる世界、すなわち異世界になるのですが……に転生しました。あなたが、この世界の住人になられたことを、祝福いたします」


 エストが、祈るように、両手を合わせると、淡い黄金の光が、その身を包み込んだ。


 まさに、輝く、という表現が、ぴったりだ。


 しかし、その輝きは、鮮やかな燦然(さんぜん)としたものというよりは、ふわりとした柔らかく優しいものだった。


「おおっ!」


 俺は、自然に、感嘆の声を上げていた。


 神々しい雰囲気に、俺は、心が洗われるように、感じた。


 当たり前だが、経験したこともない、はじめて見る、光景に、長い間忘れていた、ドキドキするもしくはワクワクする感情が、沸々と、湧いてきていた。


 光りは、やがて、祈りを捧げる女神を覆う、大きな光の翼となった。


 コンピューターグラフィックでもない、RPG(アールピージー)の世界、ファンタジー世界の知識が、今、現実となって、俺の前に、現われていた。


(不慮の事故により死亡した主人公が、女神の加護により、異世界に転生して、始まる冒険譚……とか!目白押しの、可愛いヒロインたちに、手強いライバル……!エクスカリバーに、ラグナロク!)


 知っている限りの知識を総動員した、自分でも恥ずかくなる妄想が、俺の脳内を、よぎっていたが、そんな半ば強制的にハイテンションになるほどに、神秘的な光景だったのだ。


「この世界の住人、九重空(ここのえそら)の前途に、幸あらんことを……」


 と、エストは、言って、


「それでは、あなたの有期契約について、ご説明します」


 と、続けた。


 エストの厳かな言葉を、耳に入れながら、同時に、俺は、妙な違和感を覚えた。

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