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葉川喫茶  作者: 百川歩
6/13

客⑤酔っ払った男性


葉川喫茶は稀に夜遅くまで営業していることがある。マスター曰く、自宅よりお店の方が落ち着くからついつい長居してしまう、という訳らしい。


僕が目を覚ますと、そんな感じで店はまだ営業していた。外に目をやると、日はすでに落ちていて、辺りは暗くなっていた。雲はすっかり晴れ、窓からは月の光が差し込んでいる。


あのオバサンも、さすがに帰ったか…


「そうなんです、俺だってがんばったんですよ…」


カウンターの方から声がして、見ると、男性が顔を伏せ、「うう…」と言いながらすすり泣いているようだ。

…少しアルコールの臭いがする


「全ての責任を俺に押し付けて…もう、やってられないですよ…」


「……」


マスターは何も言わず、男性の横にコーヒーを置いた。


「ありがとうございます…すみませんね、愚痴ばっかりで」


「いえ、気にしないでください。吐き出したいときは全部吐き出すといいですよ」


「そうですね…」


男性はそう言うと、身体を丸め、行儀悪い格好のままコーヒーをちびちびと飲み始めた。


「沼田くんは家の方にも問題があったんじゃないかと思うんですよ」


「……」


「あんな事があったのに休みもせず…、普段からあんな感じだったんじゃないかと」


「まぁ、忙しい職業ですし、仕方ないところもあると思いますよ…」



「そう…ですね……。でもなんで…なんで


”俺の”クラスから二人も死人が出るんだよぉ!」


男性は突然大声をあげながら顔を上げ、カップをカウンターテーブルに叩きつけるようにして、乱暴に置いた。カップからはコーヒーが弾け、男性の顔に思い切りかかった。


その顔にはどこか見覚えがあるようで、…


…あれ?僕の学校の先生じゃないか?


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