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かみ合わない安保法案の議論、ただ、たどり着く先は同じだった

作者: さきら天悟

日本は混とんとした。

その原因は安保法案だった。

その議論は2分し、両者とも譲らなかった。

そもそも議論になっていないのだ。

それは、根本の認識がかみ合ってないからだった。


安保法案反対派は叫んだ。

「戦争法案、反対」

「徴兵制度、反対」

「若者を戦争に送るな」

「70年間の平和を維持しろ」



それに対し、容認派は違う立場を取った。

「戦争に行くためではない、

戦争が向こうからやってくるからだ」


「この70年のどこに平和があったのだ。

北方領土は侵略され、

タケ島は略奪され、

日本人は拉致され、

C国に日本の地下資源を吸い取れらた。

どこに平和があったというのだ。

原発と同じで、自分たちに影響が出るまでほっておくつもりか」


ただ不思議と、二つの意見が一致したことがあった。

それは日本にとって不穏なことだった。

「徴兵制」の導入である。


安保法案反対は「戦争反対、徴兵反対」と連呼した。

その根拠はいまいち不明であるが、

もし戦争にでもなれば、そういう可能性もなくはないだろう。


安保法案容認の理由はこうだった。

このままなら、アメリカ側が日本を見限り、

日米安保条約を破棄すると。

もともと日本人の盾となって、

アメリカがC国と戦争する義理はない。

沖縄の基地から撤退も近い将来ありえるだろう。

そうなれば自衛隊を増員させるしかない。

そうなっても、自衛隊は必要ないと唱える人もいるだろうが。

その時、必要数より隊員が集まらなかったらどうするのだろうか。

給料を高くするか、

大学の入学、公務員になる時に優遇する条件をつける方法もあるだろう。

ただそれでも人員が足りなければ、徴兵制度にするしかない。

たぶん抽選とかになるだろうが。

自衛隊が必要と主張する人は、徴兵制度は覚悟すべきものなのだ。





3回目の東京オリンピックを迎える2052年、日本に徴兵制度が復活した。

それは国防とは関係ない理由だった。

失業対策である。

前年度の失業率は52%だった。

その理由は、2045年問題だった。

人工知能が人間の思考を超えてしまったのだ。

事務処理はもちろん、教師、裁判官にも採用されたのだ。

公平性を求めるものには採用される傾向があった。

もちろんフィギアスケートの採点にも。


最初の失業対策案は、仕事のない公務員を増大させようという案だった。

しかし、人工知能がシミュレーションすると、

給与以上に医療費がかさむという結果が出た。

仕事がなければ、真面目な日本人はうつ病になったり、

自殺したりするというのだ。

それにメタボ者が増え、成人病患者が増大するという。

人工知能は自衛隊員にするという代替案を出したのだ。

体を鍛えるのでメタボを防げるし、精神衛生にも良い。

上官の指導を人工知能が管理しているので、

イジメなんていうものもなかった。


こうして30年前の身のない両者の予想は当たってしまったのだった。

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