レイドの募集
0時に投稿するつもりが・・・書き終えて予約投稿にしておくのも忘れていました(笑)
22時から少し前まで夢の世界に旅立っておりました(笑)
現在龍は街の広場にいた。なんでも、東の山のライトメタルゴーレムを倒したことによる次の島へ行くためのクエスト、緊急クエストが解放されたからである。
緊急クエストとは、中央の街から東、南、西、北にいるそれぞれのフィールドボスを倒すことによって出現する次の街や島、大陸へと行くことが出来るゲームを進めるうえで非常に重要になるクエストである。今回の緊急クエストは北の森から行けるようになる北の森『深淵』で戦うジェネラルゴブリンが討伐対象になっている。そして、この緊急クエスト、初めてのレイドシステムを用いたクエストである。
そして現在、龍がいる広場ではレイドの募集を行っている最中である。現在3パーティーと龍の妹である美月のパーティーの計21名がレイドに参加することが決まっており、残りの9名を決めているところである。決め方としては確定済みのプレイヤーとの対戦で決めている。
最初は4人のパーティーであった。内訳としては剣士が2人と弓使いが1人と魔法使いが1人と言うバランスが取れたパーティーであり、剣士が攻撃を捌いて後衛の2人による攻撃と言ったオーソドックスな戦法である。開始から約10分、途中までは相手パーティーと上手く戦っていたのだが、レベルの違いか、だんだんと押され始めたのである。そして15分後、挑戦者側のパーティーの降参によって勝敗が決まった。龍が見ている限りでは真ん中よりは少し上と言った充分戦力になりえるパーティーだと内心で考えていた。
次はエルフ族女性のソロで魔法使いであった。対戦相手はRROで現在最強と名高いアバドンさん(閑話参照)が相手であった。勝負自体は負けてしまったが、エルフ族で相手が魔法特化のリッチにも関わらず、ある程度の勝負が出来ていたので、高確率でレイドメンバー入りは確定したと龍は考えていた。
それからしばらく様々なパーティー、ソロの人が挑んで行き、始まってから約2時間、ようやく龍事(´・ω・`)の出番が来た。
―――…――…―――
「えーっと、最後の参加者の……えっと、これは何と呼べばいいのでしょうか?しょぼんさんでしょうか?お願いします」
司会進行役の人が戸惑いながらも龍の名前を呼ぶ。その瞬間、辺りでドッと笑い声が上がった。そんな状況にも関わらず龍が出てくると声を掛けて来た。
「あなたがしょぼんさんですか?」
「そうだな。よろしく頼む」
「では、相手はフルーツポンチさんお願いします」
そう言われて出て来たのは人族のプレイヤーであった。レア種族であるヴァンパイアはパッと見人族にしか見えず、龍がローブを被っているせいで余計に人族と判断されたらしい。ちなみにフルーツポンチさんに関しては、人族の上位プレイヤーであり、尚且つ掲示板の住民としてRRO内では有名であった。
「えっと、しょぼんさんかな?僕はフルーツポンチ。今回の対戦相手を担当します。よろしくお願いします」
「しょぼんで間違っていないぞ。よろしく頼む」
そう言って中央に並ぶ2人。フルーツポンチは剣と盾と言うオーソドックスな組み合わせのプレイヤーであり、そのオーソドックスな組み合わせであっても高いプレイヤースキルによって上位陣と呼ばれている。
「それでははじめて下さい」
その声と共にフルーツポンチは剣を抜かずに盾によるシールドバッシュで攻撃してきた。このシールドバッシュは盾術のスキルレベルが10になることにより解放される武技である。防御と攻撃を一度に行えるため、非常に使い勝手のいい武技である。
しかし、龍はステータスの高さと反応速度により軽々と攻撃をかわす。シールドバッシュがかすりもしなかった事に一瞬驚愕の表情を浮かべるがすぐさま切り替えて剣を抜き間合いを取ってくるフルーツポンチ。ちなみに龍は未だにローブの中に下げている剣を抜いていない。
「何故剣を抜かないのかい?」
「剣を抜いた瞬間攻撃する気だろ?こんな間合いで剣を抜くわけないじゃないか」
「そうなんだ。しっかりと状況を判断する能力はあるみたいだね」
「それは、どうもです」
「でも剣を抜かないと何もできないでしょ?」
「それはどうでしょう?暗黒の闇の輝きよ、ダークスフィア」
龍の呪文と共にフルーツポンチの側に小規模な漆黒の闇が発生してフルーツポンチのHPを削り始める。まさか魔法を使ってくるとは思わず、フルーツポンチは回避が遅れ、龍の魔法によりHPが2割ほど削られた。そして、その間に龍は自らの武器、エリートゴブリンの剣とライトメタルブレードを抜いた。
「二刀流!?しかも鉄じゃない鉱石の武器!?」
龍の戦闘スタイルに驚きながらも盾を前に構えて防御の構えをとる。しかしながら、龍からするとフルーツポンチのその行動は悪手であった。まず龍はエリートゴブリンの剣で龍の盾に斬りかかり盾の位置を少しずらす。そして出来た隙間に瞬時にライトメタルブレードで斬りかかりダメージを与えようとするも寸前のところで鉄の剣により防御される。しかし、すぐさまエリートゴブリンの剣で武技の浮世世界を発動させてフルーツポンチの盾に対して上向きの力を加える。それにより、体勢が崩れたフルーツポンチに対してさらにライトメタルブレードによる浮世世界の武技で攻撃を仕掛けて空中に浮かせる。そして、武技の使用による硬直から解放されたエリートゴブリンの剣で燕返しの武技を放ち、その勢いのまま蹴技による蹴りを加えてHPを8割の状態から一気に0にまでした。
龍の攻撃により辺り一帯はシーンと静まり返る。その中美月だけは目をキラキラと光らせ熱い視線を龍に対して送る。しばらくして復活した進行役の人により勝敗が下された。
「しょ、勝者しょぼんさん」
最後まで読んで頂きありがとうございます!
以下設定集>
シールドバッシュ:攻守を同時に行える盾術のスキルレベル10で解放される武技。使い勝手の良さから最初から最後まで多くのプレイヤーによって愛用されている武技である。




