キャラメイクⅠ
本日2話目です。楽しんでもらえると有難いです。
―ピンポーン
チョップをして頬を膨らませていた美月を見ていると玄関のチャイムが鳴った。
「お、来たみたいだ」
その言葉と共に階段を下りる龍。そしてそれについて行く美月。階段を下りてすぐの玄関の扉を開けるとそこには宅配業者の人が立っていた。
「剣ヶ崎龍さんで間違えないですか?お届の品が3品あります。サインお願いして良いですか?」
「3品?わかりました」
そして龍は業者さんに言われたとおりに伝票にサインをする。
「では商品を持ってきますね」
そう言って宅配業者の人は一旦トラックへと向かった。
「あれ?おにいちゃん、ソフトは2つじゃないの?」
「そうなんだけどなー、おかしいな・・・」
そんな会話をしていると宅配業者の人が戻ってきた。
「此方の3点が此度の配達の品となっております。御利用ありがとうございました」
そう言って宅配業者の人は2つの小さ目の箱と1つの大き目の箱を置いてトラックへと向かった。
それから荷物を自分の部屋へと運んで美月と共に開ける事にした。3つの荷物のうち2つに入っていたのは龍と美月の分のRROのソフトであった。そしてもう一つの大き目の箱に入っていたのはVR用のヘッドギアとノートPCと一枚の紙であった。ちなみにVRのゲームを行うにはヘッドギア、ネットのつながったパソコンの2つが必要である。
そして紙、正確には手紙であったが、差出人は驚くことに死んだおじいちゃんであった。内容は以下の感じである。
龍へ
龍がこの手紙を読んでいるという事はわしはすでにこの世の人間じゃないはずじゃ。そんな龍がわしの願いを叶えてくれると言うわけで、龍には最高の環境でRROをプレイして欲しいのじゃ。と言うわけでわしから龍に対してヘッドギアと高スペックノートPCを送ることにしたのじゃ。RROを楽しむんじゃぞ?
「おじいちゃん・・・」
手紙を読みながら昔を思い出して感傷に浸っていた龍であったが、その横で美月はノートPCとヘッドギアを見て驚いていた。
「お、おにいちゃん・・・このヘッドギア、まだ未販売だけど後に売り出される予定のRROプレイ推奨ヘッドギアの『VRギアβ』だよ。そしてこっちのノートPCはとんでもないスペックだよー・・・私のデスクトップPCよりもスペックが良い・・・」
「うそ!?」
美月の言葉に驚く龍。美月は女の子でありながら龍の影響でゲームが大好きな女子高生である。そして美月が使っているデスクトップのPCは大抵のオンラインゲームを快適にプレイ出来る程の高スペックPCであった。その高スペックPCを超える性能を誇るノートPCを龍のおじいちゃんは龍に託したのであった。考えただけでも分かる通り環境だけを言えば最高水準のゲーム環境と言える。
「おじいさんっていったい何者なの・・・?」
「俺も細かい事は幼かったから知らないけど・・・とにかく言えるのはVRMMORPGが大好きなおじいちゃんだったよ」
「謎だね・・・」
「うん・・・」
「あ、そうだ!おにいちゃん、確かRROのサービス開始は今日の12時からだったけどキャラメイクは今日の9時から可能みたいだよ!だからキャラメイクしよ?」
「そうだな。んじゃー俺は準備してキャラメイクするよ。後でお互いの事教え合おうよ?」
「そうだね!じゃあ、また後でね!」
そう言って美月はRROのソフトを持って自分の部屋へと向かった。それから龍はパソコンをネット回線につないで様々な設定を行った後にパソコンとヘッドギアをケーブルでつないで、ヘッドギアにRROのソフトを入れる。そしてヘッドギアを被って龍はベッドへと寝そべって言った。
「ゲームスタート」
龍はその言葉と共に目を閉じる。すると一瞬の浮遊感の後に真っ白な空間へとたどり着いた。
―――…――…―――
『初めまして。RROの世界へようこそ。私は全体的なナビゲート及びプレイヤーのサポートを行いますヘルパー事ナヴィと申します。今現在の時刻は10時27分でサービスは開始されていませんがキャラメイクは可能となっております。キャラメイクを行いますか?』
ナヴィの言葉と共に龍の目の前に半透明のパネルが出て来た。そこには〈YES〉と〈NO〉が書かれていたので迷わず〈YES〉をタッチする。
『かしこまりました。まずはプレイヤーネームを決めてください』
ナヴィのその言葉と共に龍の目の前に半透明のタッチ式キーボードが出てくる。そして龍は以前から決めていた名前、ツルギと打ち込む。名前の由来に関してだが、単純に剣と言う字が一番最初だからツルギと言う特にひねられていない名前である。
『プレイヤーネームはツルギを使用可能か検索中・・・検索完了。重複があるため使用不可能です』
(おい、マジかよ・・・仕方ねぇ、もう一つの候補を・・・ん?ランダムボタン?面白そうだな!)
そう思った龍はランダムボタンを押す。
『ランダムでプレイヤーネームが決まりますがよろしいでしょうか?』
ナヴィのその言葉と共に龍の目の前に本日二度目の〈YES〉〈NO〉のプレートが出てくる。そして龍は迷わずに〈YES〉を押した。
『本当によろしいのでしょうか?』
その言葉と共に再びプレートが出て来たので迷わず〈YES〉を押す。
『後悔をしても知りませんよ?本当に良いんですね?』
またまたプレートが出てくる。「くどい!」と思いながらも〈YES〉のボタンを押す。
『最終警告承諾を確認。ランダム機能を実行します・・・プレイヤーネームが決まりました。あなたのプレイヤーネームは〈(´・ω・`)〉に決まりました』
(はい!?)
龍はあまりにも予想外のプレイヤーネームに心の中で盛大に叫んだ。誰がランダムボタンを押して顔文字のプレイヤーネームに決まると予想できるだろうか?龍はここ最近で一番大きく後悔した。ランダムボタン、あそこまで警告をするのもなんとなくだが頷けた。
(ここの運営大丈夫なのか・・・?)
そんな事を心の中で呟きながらもキャラメイクは続いた。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
主人公のVR世界でのプレイヤーネームが(´・ω・`)に決まりました。
※(´・ω・`)でしょぼんと言います。
以下設定集>
RRO:世界で最も自由なVRMMORPGとして開発当初から注目を集めて来た作品。様々な種族、一定のレベルを超える事による進化、無数に等しいスキル、そして抜群のやり込み度。多くのプレイヤーが待ち望んだ作品であった。