秀介と洋平
この話は9話の『初日の終わりと学校』の続きとなります。
美月が屋上にやって来た。妹を含めて屋上に美少女が2人いる状況、龍からすればさっさと逃げてゲームの世界に行きたいと思っている。
「おにいちゃん、どうしたの?そしてこの可愛い人は誰?」
後半、美月の後ろから黒いオーラが見え隠れしていたが、気にしないようにしておこう。うん、そうしないと自分の身の危険が・・・
「えっとな、この人は水無月雫って言って俺達のクラスのクラス委員長だ。んで、委員長、こっちは俺の妹の神無月美月だ」
「あ、えっとおにいちゃんの妹の美月って言います」
「水無月雫です。剣ヶ崎君には御願を聞いてもらっていたの、巻き込んでごめんなさいね」
そう言ってお互いに頭を下げる美月と雫。それに続くように龍が美月にお願いの事を言う。
「美月、ここにいる委員長がRROをするらしいんだが勝手がわからないらしい。それでそういう事なら俺よりも美月の方が適任だと思って呼んだんだ、委員長の事頼んでも良いか?」
「そういう事だったんだね!うん、良いよ!おにいちゃんの頼みだもん」
「美月さん、ありがとうございます」
「美月で良いですよー、雫先輩!早速家までお邪魔しても良いですか?色々教えるんで!おにいちゃん、晩御飯美月の当番だけど今日は変わって貰って良い?」
「了解、美月頼んだぞ」
「任せて!雫先輩行きましょ」
「はい、今日はよろしくお願いします」
そう言って2人は屋上を後にした。そして龍はそれを見送った後に自分の家へと帰って晩御飯を作りRROにログインした。
―――…――…―――
RROにログインした龍は秀介と洋平との約束を果たすために来たの門へと向かった。そしてそこで2人を難なく見つけて声を掛けた。
「わりぃ、遅くなった」
「お、ry・・・なんだその名前は?」
「剣ヶ崎君・・・その名前は・・・」
龍のプレイヤーネームを見た秀介と洋平は笑い始めた。ちなみに洋平のプレイヤーネームは『ヨウ』で、秀介の方は『シュウ』である。良くありそうな名前なのに登録できたことに関してある意味羨ましく感じた龍であった。
「ランダムにしたらこうなったんだよ、しょぼんとでも呼んでくれ」
「しょ、しょぼん」
「・・・」
しょぼんと聞いて吹き出す洋平、そして秀介はと言うと先ほどからずっとプルプルしている。よっぽど2人には龍のプレイヤーネームが笑えたらしい。
「とにかくこうしてないで狩りに行こうぜ」
「あぁ、そうだったな、しょぼんが面白すぎて忘れてたわ」
「そ、そうだね」
顔が完全に笑っている洋平とプルプル笑いをこらえている秀介と共に龍は北の草原へと向かった。
―――…――…―――
「でやぁー」
洋平の掛け声と共に振り下ろされた木の斧がホーンラビットを分断して、光のポリゴンへと変える。
「やっぱ北の草原は楽勝だな・・・」
「ぜぇぜぇ、お前どんだけなんだよ・・・」
「流石にボクからしてもしょぼん君の強さは予想外過ぎるよ」
龍とは違いお疲れ気味の2人、洋平と秀介が北の草原のモンスターを4体殺した時に、龍は1人で9体のウサギを殺していた。しかもいつものように流れるような動きで。それを見ていた洋平と秀介はしばらく口をポカーンと開けて思考停止していたが、すぐに復帰して3人(?)で狩りを楽しんでいた。
「っと、そろそろ俺ログアウトだわ、また明日学校でな」
「僕もそろそろログアウトするよ、また明日ね」
そう言って洋平と秀介はログアウトした。ちなみに龍は洋平と秀介との狩りではレベルが上がらなかったが、剣術と蹴技、魔力探知のスキルLvが1上がったのであった。そして龍は2人がログアウトした後も楽しむために北の森へと入って行った。
北の森を歩いていると何度かゴブリンの襲撃を受けた。そして龍のレベルがようやく1上がったのであった。レベルが上がった後も散策を繰り返していると龍はある物を見つけた。それは地面に描かれている地上絵の様な物である。
この地上絵の様な物は、そのフィールドにいるボスの場所へと転移させるものである。そしてこの北の森のボスはエリートゴブリンとゴブリンである。龍の現在のレベルは11、普通に考えれば龍1人でどうこうなうような相手ではない。しかしながら龍は戸惑わずに地上絵を踏んだ。そして辺りに光が満ち溢れて浮遊感を感じる。
しばらくすると龍は森の中の広場になっている場所に居た。そして目の前には8体のゴブリンと1体の2m程度の大きなゴブリンがいた。この大きなゴブリンこそがエリートゴブリンである。
『ゴブリィイイイイインンン』
エリートゴブリンが咆哮を上げる。その咆哮を聞いた龍は心の中で突っ込む。
(ゴブリィイイイイインンンってなんやねん!運営どんだけ手抜きやねん!)
そんな事を心の中で考えつつも、このRROで初めてのボス戦が始まった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は6月1日に投稿しようかと思います。
以下ステータス>
名前:(´・ω・`)
種族:ヴァンパイア
レベル:11
HP:113
MP:103
STR:116
INT:99
DEX:123
AGI:108
スキル>
・剣術Lv8 ・アクロバットLv6 ・武器防御Lv8 ・詠唱短縮Lv6 ・蹴技Lv7
・魔力探知Lv9 ・気配遮断Lv5 ・錬金術Lv3 ・闇魔法Lv6 ・幸運LvMAX
確定スキル>
・眷族Lv1
以下設定集>
ゴブリン:かの有名な緑色の小人のモンスター。RROの世界では「ゴブゴブ」と常に言っている。言語能力Lv30で習得できる魔物言語能力のスキルを使えばゴブリンが話している内容が分かったりする。ただ、言語能力のスキルをとっている人は今現在初期プレイヤー約10万人の中には1人としていなかったりする。
エリートゴブリン:エリートなゴブリン。どの程度エリートかと言うと、学校のクラス30人全員を2週間で顔と名前が一致する程度にエリートである。「ゴブゴブ」ではなく、エリート様は「ゴブリーン」と常に言っている。ちなみにゴブリン同様魔物言語能力のスキルがあればエリートゴブリンが何を言っているのかは理解できる。
※エリートゴブリンの「ゴブリーン」は決して手抜きではありません。by運営




