☆開く扉⑥☆
ぴーーーーー、ぴーーーーー
錠前が開く甘美な音の残響が残っていたその時、かん高い笛の音が起こった。
辺りがざわつく
「火付け盗賊改めだ!まずい!」
団の若頭が小さく叫ぶ。
「くそ!ここまで来て!・・・引くぞ!」
頭が号令を発した。
快感を得た瞬間恐怖の感情が俺の身体を駆け抜ける。
どうしていいのか感情が定まらない。
引くというお頭の言葉に身体は従い、皆についていく。
ぴーーーーー、ぴーーーーーー、ぴーーーーーーーー
笛の音はどんどん近くに迫っていた。
「御用、御用、御用・・・」
役人たちのかけ声も迫ってきた。
逃げ切れるのか・・・
いや、ここで捕まるわけにはいかない。
俺は、ただ錠前を開けてきただけだ。
なんで俺が捕まらなければいけない!
そう心で叫びながら走る。
走って、走って、走った・・・
商家の通り、長屋の狭い道・・・
走って、走って、走った・・・
どんどん仲間は、道を分れていく・・・・
ぴーーーーー、ぴーーーーー、ぴーーーーー
笛の音は近いのか、遠いのかわからない。
いつの間にか一人で走っていた。
小さな川の橋があったので、橋の下に逃げ込み頭巾していた手拭いを取る。
はぁはぁはぁはぁ・・・・・
心臓が破裂しそうなくらい呼吸が早い。
目を粒って橋を見上げる。
助かるのか・・・・
「御用、御用、御用・・・・・」
足音と叫びが近づいてくる。
頼む・・・・、気付くな・・・・
さらに心臓の動きが加速した。