昔話なんだぜ!!
本文に似合わないサブタイトルつけてごめんなさい。
貴方は、自分の嫌いな部分がありますか?
あるところにとても美しいお姫様がいました。お姫様は外の世界が好きで、よく屋敷を抜け出しては大臣に怒られていました。
ある日、屋敷を抜け出したお姫様は井戸の前で少年に会いました。少年はそれからお姫様にいろいろなことを教えてくれました。お姫様はいつしか、少年に恋をしていました。
それから何年も経って、お姫様には許嫁が現れました。少年も立派な青年へ成長し、二人が会う回数も減りました。それでもお姫様は青年が忘れられませんでした。
「満月の夜、井戸の前で待っています」
最後に青年と会ったとき、お姫様は言いました。青年は何も言いませんでした。
満月の夜、お姫様がどれだけ待っても青年は来ませんでした。
”私が姫でなかったら”お姫様は姫である自分を呪いました。
次の日、街は大騒ぎでした。お姫様が夜中のうちに消えてしまったのです。
三日後、国を挙げての捜索。青年の家にもお役人が来ました。
一週間後、捜索網は国の外にまで伸びました。
二週間後、相変わらずお姫様は見つかりません。お姫様の可愛がっていた猫が、庭で楽しそうに鳴いています。
三週間後、青年の夢にお姫様が出てきました。
「私のせいでごめんなさい。全部私が悪いから、あの子をどうか助けてください」
夢の中のお姫様は泣いていました。
青年には意味がわかりませんでした。夢の中のお姫様の足元には猫がいました。
一か月後、お姫様は見つかりました。青年と初めて会った井戸の中で冷たくなっているのを村人が発見したのです。
「そういえば、昨日は満月だったな」
誰かが呟きました。
猫は庭で寝ています。
「おいで」
猫が立ち上がり、嬉しそうに門の外へと出ていきました。
貴方が私を嫌うなら、私は貴方と共には逝かず、彷徨うことにいたしましょう。
自分の分身の妖怪が出てきた理由ですね。