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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

あたしのお姉さん

作者: りらいず

あたしには、おねえさんが一人いる。


それはそれは可愛いお姉さん。

セミロングが似合う、お姉さん

シックな服を着るとより魅力的な、お姉さん

最近、彼氏の誕プレを悩んでいるお姉さん

昨日、お気に入りのペンダントを無くして落ち込んでいたお姉さん

3時間前、オムライスのケチャップをこぼして、ブラウスを汚しちゃったお茶目なお姉さん

15分前、彼氏との長電話が終わったお姉さん

10秒前、欠伸をしたお姉さん






そんなお姉さんを、あたしは嫌いだ。


好きで好きで好きで好きすぎて、大嫌い



むしずが走るほど大嫌い

とても大好きだからよ?



そんなあたしに、お姉さんは優しく接してくれている

妹なのに「ちゃん」付けで呼んでくれて、いつもあたしに笑顔をくれる

とってもやさしいお姉さん



そんなお姉さん、ただいま彼氏と絶賛良好中

つまり「らぶらぶ」なのだ。



いやよ、お姉さんはあたしのもの

え?「妹じゃないのか」って?

そうよ、妹よ。





だからなに?妹が姉に恋愛感情を持ったらいけないわけ?





あ、今あたしのこと「異様なものを見る目」で見ていたでしょう?



わかってるわ。あたしは異様

異様だからこそ、姉であるあの女性を愛せることができた

それって、とてもすてきなことじゃない。

そう思ったとき、なんてあたしは幸せなんだろうって思ったわ。




・・・あら、お姉さんが呼んでる

稀衣乃きいのちゃん。ちょっといい?」という声が聞こえる

どうせ、いつものようにくだらない話をするために、お茶をしようというのだろう

あたしは、人生のなかでそのお茶をしている時間が一番幸せ





でも、たぶんこれが最後の“お茶会”

・・・今日、お姉さんはこの家を出て行く


彼氏と結婚するのだそうだ。

彼氏と新居で暮らすらしい



ねえ?あなたに質問していいかしら

どうして、女性同士は結婚できないの?

どうして、姉と妹は愛し合えないの?



・・・愚問ね、ごめんなさい。



きっとお姉さんも、最後のあたしとのお茶を楽しみたいのだろう。




・・・でも、どうせ最後なら

永遠に、あたしのものにしてから終わらせたい。



・・・ええ、殺すつもりよ。

姉を



どうしてって、さっき言ったでしょう?

「永遠にあたしのものにする」のよ。



姉が死んでもいいのかって?


ええ、いいわ。誰かのものになるよりましよ



今ね、あたし包丁持ってるの。

昨日しっかり研いだ包丁よ

切れ味がいいの。いま誤ってあたしの腕切っちゃった



あ、心配してくれるの?

大丈夫、かすっただけよ




この包丁で、姉をずたずたにするわ

もう二度と彼との思い出も話せないように

喉も念入りに切り裂いておかないとね



ああ、お姉さんの血を見るのは何年ぶりかしら

・・・思い出した、5年前の7月8日が最後。

「天の川を見るんだ」って、徹夜で夜空眺めて、風邪引いて

くしゃみした拍子に、鼻水0.002mlと、鼻血を0.005mlを出したの

あのときのお姉さんの顔ったら。ふふ、可愛い


・・・今のお姉さんの顔もとってもキュート

恐怖で歪んだ顔もすてき



さあて、そろそろクライマックス

お姉さんに・・・一般的にいう「トドメをささ」ないと



あ・・・あなたとの電話。ここで切るわね

あなたも嫌でしょう?姉の断末魔を聞くの



・・・いいえ、聞かせたくないわ

お姉さんの断末魔も“あたしのもの”



それじゃあね。

あなたとの友人関係も、これでおしまい。

ああ、できれば警察に連絡しておいて

あたしが通報するのもかっこうわるいでしょう?

だいたい、あたしがこんな話をあなたに電話でしてるのは

警察で洗いざらい話すのが嫌だからよ。



したくないもの、お姉・・・お姉ちゃんとの思い出話をするのを

・・・好きでこんなことしないよ




・・・それじゃ、切るわ

お・げ・ん・き・で♪










ピッ

初めて「あたし」という第一人称に挑戦してみました


遠回しな言い方ですが、ちょっと残酷な描写あるかな?と思ったので


R-15をつけさせていただきました。


というか、この「妹」病みすぎ。笑

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