ショートショート 繁殖
「あ・・・・・・ハロー」
「近づかないで!」
「あ、はい・・・初めて人を見たのでつい・・・」
「初めて?」
「はい、あ、自己紹介します 日本人でケンジといいます 25才会社員です 気が付いたらいつのまにかここにいて、もう10日は経つと思います 会社が心配です 衣食住はあてがわれてるんですがここから出れなくて・・・」
「恵まれてるのね」
「恵まれてる?」
「こんな綺麗なところで不自由なく暮らせている、私を呼んで貰えるほどかわいがられている、なにより現状をまだ知らないのが一番幸せ」
「あ、現状知ってるんですか?教えてもらっていいですか? ここはどこで、どうしてここにいるのか、どうしたら帰れるのか、お願いします」
「ここは知らないと天国のようなところ、でも知ってしまうと地獄になる、それでも知りたい?」
「教えてください!わからないことだらけで気が狂いそうなんです」
「じゃあまず、私は英語を話しています」
「え? 日本語がうまいなあと思ってました」
「ここはそんな不思議な 異世界 なの そして、私たちは元の世界へ帰れない」
「そんな・・・」
「私は15才にここに来てもう5年は経つ、今までの経験上そう感じたの」
「どうして・・・」
「理由?私たちが選ばれた理由は私にもわからないわ あと直近だと、あなたは裸でここにいる 私は裸にされてここに連れて来られた これは繁殖のためよ」
「繁殖?」
「私たちはペットなの 異世界から人を呼び寄せるようなとてつもなく強くて大きい存在でゲスな存在たちの
愛玩動物としてここにいるのよ」
「愛玩動物?」
「視線を感じない?」
「・・・誰かに見られてる感じはしてました」
「ここであなたと私が繁殖して、私が子供を産んで、その子を別の誰かに売る商売をしているのが私のクソ主人、もう赤ちゃんを二人も取り上げられた」
「・・・経産婦」
ギロリ
おしまい




