8、はい!「ルア」じゃぁ…「ナイト」!
「悪い魔女やないで 皆と仲良くなる『正義』の魔女や」
胡散臭い関西弁で話す魔女に、シエラは驚きを隠せない。
「じゃあ…ユキは!?」
「まぁ慌てるな 順を追って話してみよう」
ユキの結界に体を預け、リラックスする魔女。
「…痛くないの?」
「良い感じに痺れるやね」
やっぱり立つ。そして魔女は顎を人差し指で叩きながら、何から説明するか考えた。
「『仮面』の説明からしよか まずウチの仮面もアンタの仮面も そして『ユキの仮面』もウチが作ったんや!凄いやろ?」
「まぁ…素直に凄いとは思うわよ」
「せやろせやろ!人間が好きな童話を片っ端から読み漁って作った甲斐あったわぁ!」
嬉しそうにする魔女。魔法で作ったのか、どんな技術か目的は。謎は溢れるばかりだが変に小突いて説明を中断させるわけにもいかない。シエラは静かに耳を傾ける。
「んで『ワンダー』やけど 人間は助け合わないと生きていけないやろ?戦える不思議な力を込めてみたらこれが大成功したワケや!」
「助けあい…」
ユキを見つめる。無表情で眠るユキは「助け」を求めているのだろうか。
「んで『ユキ』の事やな ユキはどうやら『夢の中を自在に操る敵』と戦っていると思うんや」
「…それが私の敵なわけね」
「現状推測しか出来んから何とも ウチは誰かが仮面ワンダーを悪用したのかと思ってたんやけどね」
「該当する仮面は覚えてないの?」
「確か…」
顎を人差し指で強く押しながら考える魔女。答えの出ない時間に、シエラは長い間イラつくのだった。
「…『ルア』 まだ眠っているの?」
「…」
「そうね 私の可愛いルアは頑張ったんだもの もう戦わなくて良いのよ」
「…」
「あとは私 『フェイ』に任せて」
ルアの頬にキスをする。すると、夜風が鳴くようにざわめいた。
「『.exe起動』 『MALICE.exe』としての活動を再開する」
「夜凪ルア」。私の可愛い妹。この子を守るためなら、私は修羅にでもなる。
「『忘名フェイ』 『オーロラ姫』救出作戦を始める」
仮面ワンダーが正義なら、「悪」としての私は何だ。
「仮面…『ナイト』」
長い夜を、終わらせてなるものか。




