9、夢が明ける
アリスが言うには、「仮面」は「人を助け合う為」に作られた魔法らしい。童話の力が各仮面に封じ込められていて、俺のが「不思議の国のアリス」。
「私に最高のテーマじゃない…嫌いじゃないわ」
シュク…メイジは「赤ずきん」。
「じゃあ作れるの!?お菓子の家!!」
グレーテル…レテルは「お菓子の家」。
「猿とキジ居ないんだけど!?」
イヌタロウは「桃太郎」。犬要素しかないけど。
「そして話を聞く限り、シエラさんが『シンデレラ』になりますね」
シエラ…カエルと喧嘩していた少女。結局会話出来なかったな。
「そして…私は知ってるのはとある魔女 『ミラ』さんから聞いた話なんです」
そして知らない人物。情報量が多すぎて考えるのが嫌になる。
「ミラ?魔女?魔女が居るの!?」
レテルは嬉しそうに跳ねる。仮面ワンダーの存在であまり不思議にも思えないけど、魔女なんて生まれてこの方見たことねぇ。まあ、俺にとってのアリスも十分に魔女みたいなもんだけど。
「ミラさんが仮面の制作者なのです その方は『助け合うのに便利な力や!悪用は堪忍やで!』とおっしゃっていました」
「魔女って関西弁なの…?」
悪用しかけていたレテルは首を傾げる。それよりアリスの関西弁が可愛くて一瞬ときめいてしまった。
「ハンス…顔が溶けてるわよ 私もそうした方がいいのかや?」
「無理やり慣れない喋り方すると本国の人に怒られるぞ」
「…堪忍やね」
メイジは軽くしょげた。
「今説明出来るのはこのぐらいでしょうか…」
アリスが緊張をほぐす様にため息をつく。仮面の意味、制作者が分かるだけでもかなりスッキリする。
「つまり…悪用しなければ便利な変身アイテムって考えて良いんだな!」
イヌタロウが結論をまとめていってくれた。ふざけた見た目だけど一番常識人かもしれない。
「そうですね…悪用しなければ」
アリスはメイジとレテルを睨む。二人は目を逸らした。
「まぁ未遂で済んだから!俺も悪いことしないように見張ってるから大丈夫だろ!」
「ハンスは優しいのね…嫌いじゃないわ!」
「ハンスお兄様が許したのなら大丈夫ね!」
「主が許しても私は許しませんからね!次はないですよ!」
アリスが可愛く怒る。メイジは「反省してまーす」と小さく呟いた。
「私たち以外にも仮面はあるの?」
「ミラさんは気紛れで色んな人に配ってますので…前にあったのが数年前だからかなりの数普及してる可能性も…」
その魔女結構やらかしてないか。悪用前提のデザインだろこれ。
「ミラさんは人間ではないので…何か起きても自己責任とも警告していましたね」
「人の心無いんか?」
「メイジ それ言いたいだけだろ」
「テヘッ」
可愛くポーズを決めたメイジ。一回違う人に怒られて欲しい。
「まぁ仮面関係の事件が起きても 俺らなら解決できるだろ!なあハンス!」
「お前距離感バグってるよ…まだ出会ってそんな経ってないだろ」
モモタロウのフレンドリーにたじろいでしまう。悪い気はしないけど。
「もう仲間じゃねぇか!この五人でヒーローやれるんだったらやるしか無いって!」
「そうね…奇しくも色まで揃ってる」
そういえば、俺が青なら赤、黄色、ピンクが揃ってしまっている。
「私がリーダーね…赤はセンターじゃないと」
「不安しか無い!!」
「レテルは!?レテルも目立ちたい!」
「ピンクがリーダーも新しくて良いだろ!」
「リーダーとかどうでも良くないですか!?」
アリスが叫ぶのも分かる。でもヒーローオタクのシュク、イヌタロウは引かないだろう。
「一先ず俺が先導するのはダメか?」
青担当の俺、試しに言ってみる。
「ハンスが言うなら…ドウゾドウゾ」
「お兄様なら…仕方ない」
「二人を黙らせるとは…こりゃ決まったな」
えらいスムーズに行くじゃん。俺リーダー嫌だったんだけど…。
「じゃぁ…もう一人いないとバランス悪いわね」
「そうだな!こういうのは五人が基本だよな!」
既に五人ではあるのだが、アリスはノーカウントなのか。
「まぁ…私一人じゃ戦えないですし」
「ワンダーして戦ってるのほぼアリスなんだけどな」
アリスがいなかったら俺は何も出来ていないんだ。
「アリスとハンスお兄様は一緒でしょ!」
レテルはストレートに…でも悪い気はしない。アリスもなんか照れてるし。
「じゃあ迎えに行きましょうか」
「誰に?そんなメンバー候補いたっけ?」
モモタロウは腕を組んで考える。
「居るじゃない…黒担当の可愛らしい娘が」
「あなたは何なの!?何で…シエラちゃんを!!」
「ここはあなたの悪夢…救うには邪魔だった」
ユキの夢、顔の見えない相手との対峙。
「私の悪夢…?」
「ユキ…痛いかもしれないけど あなたを救うにはこうするしか無いの」
小さな姿に似合わない大きな剣。ユキは逃げれず、真正面から斬られてしまう。
痛みと血の味、衝撃を感じて目を覚ます。
「…夢…だよね…」
長い眠りから目を覚ましたユキ。本来いるはずの親友は、何故か居ない。
「シエラちゃん…」
呟くユキ、そしてある決意をして部屋を出る。
「ごめんね…シエラちゃん」




