18話
「…ぐ、ぬぅ…ぬかったわ!」
「げ、げ、ゲンサイさんっ…!!」
ロックスネークの一撃が直撃し、岩壁へとたたきつけられたゲンサイ。
「…これでは、く…刀が、握れん…!!」
持ち前の凄まじい反応速度で、紙一重でガードしたゲンサイ。刀で攻撃を受けたことにより、『破魔の太刀』の効果で、薙ぎ払い時の尾に乗っていた魔力を消しダメージを軽減させる事に成功。
しかし、シンプルなロックスネーク自体の巨大な尾とそのパワーに、彼の両腕は潰れ肩が砕け血が噴き出していた。
「…」
ロックスネークはゆらゆらと周囲を移動し、ゲンサイ達を観察していた。
そして、もう戦えそうにないことを察した蛇はゆっくりと距離を縮めていく。
多くの人間と戦った記憶から、この歴戦のロックスネークは慎重に戦う事を学んでいた。
人は賢い。もしかすると奥の手や罠があるかもしれない。
そして、今…それらが無いことをロックスネークは確信した。
人を丸呑みに出来るほど、大きな口を開きゲンサイへ迫る。
「げ、ゲンサイさんっ…!」
ミギリダはユウリを抱えながら、今だ続くロックスネークの周囲の地形から繰り出される岩の武器による攻撃を躱すので精一杯だった。
(…ここ、までか――)
――ズドンッッ!!!
「「!?」」
落雷の様な轟音。ゲンサイの目の前には、ロックスネークの頭を剣で突き刺し地面へと叩きつけているアレイダがいた。
「またせて済まない!」
身体中から電撃を放つアレイダ。バチバチと電撃が走り背中に翼の様なオーラが現れていた。
「キシャアアアッ」
「!」
アレイダの一撃を受け、気を失っていたロックスネークが目を覚ます。そして頭を大きく振りアレイダを吹き飛ばした。
「今の攻撃でも致命傷にならないか…硬いな!」
空中で身を翻し、吹き飛ばされた壁へと着地。そしてそのまま再度ロックスネークへの攻撃へと移る。
――ズガガガッ!!
雷を纏った効果により人を超える俊敏さを得たアレイダ。それはロックスネークのスピードを軽々と上回り圧倒する。
(致命傷は与えられない…が)
ミギリダがユウリとゲンサイを抱え転送スキルを発動。姿を消した。
(3人の避難は完了…)
「ふう」
アレイダがロックスネークとの距離をとった。
「さて、全力で破壊するか」
バチチチ…!!!
身体を纏う金色の電撃が青色へと変化する。剣を持っていない手を前に出すと、雷のオーラが刀を形作る。
(…弱点は、硬い頭蓋に守られた脳と一体化した心臓…今の火力なら――)
アレイダのスキル『雷神』は、解放段階が存在する。
一段階目《レベル1》は金色の雷、二段回目《レベル2》は青白い雷。
この青白い雷による破壊力は、Sランク冒険者にも差し迫るほどだった。
ヒュオ――ズッ
まるで砂で出来た城を散らすかのよう、周囲の地形が巻き込まれ吹き飛んでいく。
その渦中にあるロックスネークは、全ての魔力をガードに回し岩を集め蛹のような形態で対応していたが、みるみる破壊されていく。
――ドドドドドドッッ!!!
破壊神と呼ばれるアレイダの34連撃。
後に残ったのは、変わり果てた地形とボロボロの頭だけになったロックスネークだった。
「…」
――ズガッ
二対の剣でトドメをさすアレイダ。目から脳と心臓を突き刺し、ロックスネークの命を奪った。
「…あ、アレイダさん!」
「! シロさん」
「おおっ、もう倒しちゃったんですね…すごっ」
「ええ。相手が相手だったので、生け捕りは難しくて殺してしまったけれどね」
「…ロックスネークの…しかも歴戦個体。なら、仕方ないですよ…」
遅れてダージが到着し「おおっ!?」と驚く。
「なんだこりゃ…ロックスネーク、だと…マジでどうなってんだよこりゃあ」
「…すまない、こっちも生け捕りは難しかった」
「いやいや、生け捕りとか無理だろ!つか、倒せたとかありえねえ…お前、ほぼ単独で殺っただろこれ」
「いや、駆けつけた時ゲンサイさんが魔力を削ってくれていた。それがなければ私もこうはいかなかったな…。それよりもゲンサイさんとユウリくん、ミギリダさんの容態は?」
「ユウリはリョカのヒールでもう怪我は治った。ミギリダは魔力不足で動けなくなってるが、魔力補給魔石があるから大丈夫だろ…ただ、ゲンサイの爺さんはヤバいな。命には別状ないが、手がぐちゃぐちゃだ…早く医療施設につれていかないともう戦えねえぜ」
「…そうか」
「皆さん!」
「「「!」」」
ミギリダがふらふらの足取りで戻ってきた。
「こ、これからダンジョン出口へと転移する事になりました。そしてそのまま医療施設へまた転移します…ゲンサイさんを早く治療したいので。ただ、かなりの魔力を消耗するので、一緒に転移できるのは僕含め…5人ほど」
「5人…」
「ひ、1人は術者の僕で、1人はもちろんゲンサイさん…そしてヒールをかけ続けなければいけないので、リョカさん…それといちおうユウリさんも病院でみせたいのでユウリさん。それと、あと一人誰かゲンサイさんへ魔力補給で1人ついていて欲しいんです…」
「誰か1人か…つまり、残り2人は自力でダンジョンから出て帰らなきゃいけないって事か。お嬢ちゃん、いけよ」
「え、私ですか?」
「ああ、あんたも疲れてるだろ…あんだけ色々してたんだから」
シロはうーん、と唸り首を横に振った。
「いえ、私は大丈夫です」
「え…大丈夫って」
「ルートも頭に入ってますし。ここはダージさんにお願いします!」
「俺!?」
「私、ちょーっとアレイダさんとお話したいことがあるので…」
「? 私と?」
「はい!なので、ゲンサイさんのことお願いします、ダージさん」
「…そ、そうか…わかった」
「あ、あ、あの…早くしないと…」
「おう!…それじゃ、気をつけてなお嬢ちゃんアレイダ!」
ミギリダとダージが出口の奥へ消えていく。
「…それで、シロさん話というのは?」
「あ、とくに大した話ではないんですけど…えーと、ですねえ…」
シロは少し言い淀む。
「なにか言いづらい事なのかな」
「…あー、ちょっとだけ。えへへ」
「何度かミッションで共に戦った仲だ…君には何度も助けられたことがあるし、遠慮する事は無い」
「…そ、そーですか?では、思い切って」
「ああ」
「アレイダさん、この件の内通者ですよね?」
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