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11話


「…わ、わかった!払う、払うから!!」

「ホントだろうな?」

「もちろんだ…だが、今そんな大金手持ちにはない」

「…」

「だから街に戻ってから渡す!」


男は「フン」と鼻で笑い俺を解放した。


「最初からそうすりゃ良いんだよ。つぎ癇に触る事をいえばたたっ斬るからな?」

「…っ」

「別にそこの女がいりゃどのみち金は回収できっからよ」

「…わかった」

「わかりました、だ」

「わかりました」


ぷっ、あはは!と笑うと男は行くぞと先導しだした。


「…先導してくれるんですか」

「一応死なれたら困るからな。後処理」

「…後処理…?」

「魔物に喰われたって偽装する手間めんどくせーだろ」


…くそ…ヤバいやつにつかまっちまった…。


400万…渡す金はある。シロを売った時の金がまだたくさんあるからな。

だが、こいつはそれで満足するか?なんだか嫌な予感がするぜ…。


くそ、俺達3人が万全な状態だったら…こいつに助けられなくてもなんとかなったのに!


てか、こいつ一体なにもんなんだ?複数のCレートの魔物をあれだけ簡単に殺しちまうところをみると…冒険者ランクAはありそうだ。

どこの所属なんだ?完全ソロか?


「…あ…ぐ、あ…あ…」


背負っているドンラウが呻く。


「ちっ…ビハイブ、痛み止めを」

「…うん…」


薬を水で流し込むように飲ませていると、外套の男が寄ってきた。

ドンラウを眺め奴は「そいつ、もう保たないぞ」と言った。


「…え」

「体力的に限界だろ。あと少しで僅かに残っていた抵抗力もなくなる…そうなれば、中にある種がいっきに育って死ぬ」

「な、なぜ…種のことを」

「傷口、服の破れ方…エビルプラントに襲われたんだろ?相当な数の種を植え込まれたな」

「…」

「だが、俺ならなんとか出来るぜ?」

「えっ!?」

「俺のスキルなら、まだそいつを救える」

「た、頼む…それなら助けてくれ」


――ドスッ


腹部に重たい痛みが走った。


「がふ、おええっ」


みぞおちに男の拳が深々とささっていた。転がりうめき声がもれる。


「〜〜…うう、がっ、あぁ」

「口の利き方気をつけろ。次は腹貫くぜ?」

「…あの、お願いします…彼女を助けてください」


ビハイブが頭をか下げた。


「いいぜ。だが、それもこれも…金次第だ」

「…!」

「そいつを助けて欲しけりゃ600万」


…な…なんだと…!?


「600万で助けてやるよ。どーする?」

「…では、お願いします」


…お、おい…600万だぞ!?ビハイブ!!


「わかった。ただし、種を殺すだけだからな。怪我を治す類のスキルじゃねえ…そこんところよろしく」

「わかりました、それで大丈夫です」

「オーケー」


男はドンラウの口を手で覆った。


「はい、完了」

「…え?」

「これでこいつの中の種は全て破壊できた。あとは手術でくたばった種の残骸を取り除くだけ。だが、種による死ぬ可能性は無くなったが、出血が酷い。はやく医療機関でしっかりとした処置を行わないと死ぬぜ」

「…あ、ありがとうございます!」


――ゾゾゾ


「! …くそ、ちんたらしてたら妙なのが来ちまったなァ!?」


俺達の周囲を高速で囲う巨大なシルエット。


「…こ、これは…なんでこのダンジョンに…Aレートの魔物が!?」


Aレート、『ロックスネーク』岩のように硬い鱗を持つ巨大な蛇の魔物。


体中に剣や斧、槍などが突き刺さっている。


「…はは、相当人を殺してきたな、こいつ。凄まじい魔力量だぜ…はは」


「…こ、このロックスネーク…は…」


ビハイブが震える声で呟く。


「お前、こいつの事知ってんのか?」

「…お、おそらく、数年前、国で討伐隊が組まれた二つ名持ちの個体かと…」

「討伐隊…ああ、聖騎士が率いた部隊の!」

「身体中に刺さっている武器の中に、聖騎士が用いる剣がいくつかあります…間違いないかと」


ロックスネークは体を持ち上げ戦闘態勢に入る。その時、凄まじい魔力を放出し、俺達は凍りついた。


…なん…だ、この圧は…!!?


今まで戦ってきたどの魔物よりも、強烈な…禍々しい…魔力…ッ!!


「――ッ!?お前ら避けろッ!!!」


男が叫んだ瞬間、


ドガガガガガッッ!!!


巨大な岩の槍が四方八方から俺達を襲った。


「――がっ…は」


俺は、肩、脇腹、左足を岩の槍に貫かれ、ふっ飛ばされた。



※※※



「…ヤバい」


「どうしたの、シロ?」


不思議そうに首を傾げるミリィ。しかし、その瞬間――


「…がっ、…!?」「…ッ、」「息が…!?」


三人が倒れた。


あー…これ、ヤバいやつ来ちゃったな〜。


呼吸を止め私は奴を見据えていた。


ゾゾゾ…と洞窟の奥からあらわれたのは無数の植物の根。

その中から現れたのは、巨大な球根状の植物。

真ん中には一人の小さな少女が取り込まれていて、身体いがいの頭部手足が根で巻かれている。まるではりつけにされているかのように、真っ白な身体は力なく沈黙していた。

その両脇には大きな牙状の根が突き出していて、禍々しい印象を覚える。


(…エビルプラントクイーン…)


『エビルプラントクイーン』レートA

エビルプラントの大元であり、一体で数十〜数百を産み出し使役する女王。



…なんでこんなのがここに…なんの前触れもなく突然…。


私は倒れた三人をみる。空気中に散布された麻痺毒の粉をモロに吸っちゃってる。保ってあと十分ってとこか。

私もこのままじゃ息がもたないなぁ。


…呼吸とめたままアイツを狩れる…?


うーん、流石に間に合わないかなぁ…。


三人を担いで逃げ切る…ことは出来ないよねえ。


出口は蔦で封鎖されてるし。


(うーん…まあ、仕方ないか☆)



よし、皆は置いて行こー!私一人なら行ける!




【重要】

先が気になる、もっと読みたい!と思っていただけたら、ブックマークや☆☆☆☆☆→★★★★★評価、をよろしくお願いします。執筆へのモチベが上がります。

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