59 エピローグ
――ああ、どれほどの時が流れたのだろう。
幼い王子たちの寝台に毛布をかけていた日々が、今では遠い昔のことのように思える。
あの可哀想な第三王子が、王太子殿下と肩を並べ、そして国の新たな未来を担う者となる日が来るなんて。
新王コンスタンティン陛下の即位とともに、王女オクタヴィア殿下、第二王子マクシミリアン殿下、そして第三王子エドワード殿下は、正式に王太后陛下の御養子となられた。
血筋だけではない。志と、未来を共にする者として。
その瞬間、宮廷は新しい秩序のもとに生まれ変わったのだ。
正妃アイラ様は、自ら離縁を望まれた。
もはや一人の人間としての道を選ばれたのだろう。
彼女が下賜されたのは、あのギルベルト。
長きにわたり剣をもって王子たちを守り抜いた騎士。
二人が寄り添って歩む姿を見たとき、わたくしは胸の奥が温かくなるのを感じた。
そして――エドワード殿下。
殿下は間もなく外国へ旅立たれる。
法と統治を学び、やがてウルバヌス猊下の後継として、この国の影を支配する者となるだろう。
彼が初めてウルバヌス猊下のもとで学び、恐れ、悩み、そして決意した日のことを、わたくしは忘れない。
あの幼い王子が、今や未来を背負う覚悟を宿した青年となった。
若き日の陛下と、聡明なる王女殿下。
騎士となった第二王子殿下と、影を統べる第三王子殿下。
そして穏やかに微笑む正妃殿下とギルベルト。
それぞれが己の道を歩み始める。
ああ――なんと美しい、新しい時代の幕開けだろう。
わたくしはこれからも、この目で見届けるのだ。
王国の未来と、彼らの行く末を。




